見出し画像

「データが石油」ってどういうこと?

『DXプレイブック』は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の専門家集団 Kaizen Platformの須藤による解説シリーズ。loT、サブスクリプション、AI、D2C、OMO、MaaSなどをキーワードに「DXとは?」を考えるDXの入門書です。

こんにちは! Kaizen Platformの須藤です!

2010年代の前半にGAFAは、石油メジャー4社の時価総額合計を抜きました。GAFAとは、Google、Amazon、Facebook、Appleの4社のことです。急成長を続けているその4社の共通点は何でしょうか? それはデータ駆動型のビジネスモデルであるということです。

GAFAはデータを採掘している

ソフトウェアのデザインや機能は、簡単にマネすることができます。後発プレイヤーが先発そっくりのプロダクトを出してくることも珍しくありません。

先日リリースされたPayPayのフリマアプリも、競合アプリの研究をしてデザインされているように思います。

スクリーンショット 2019-11-26 10.21.41

(出典:https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/

そのような環境において、競争優位の源泉になるのがデータです。それだけが競争優位になる要素ではもちろんありませんが、テック系企業でデータを軽視しているプレイヤーは存在していないのではないでしょうか。データはその希少性と有用性から、“21世紀の石油”と言われています。

この21世紀の資源は、あらゆる場面で活用されています。身近なケースはSNSのタイムラインです。これらは皆さんの行動履歴を元に、表示内容を最適化しています。クリックはもちろん、スワイプや動画をどこまで見たか、そういったデータから私たちの興味を推定しています。

スクリーンショット 2019-11-22 19.51.36

結果、「そうそう、これが欲しかった」と思える商品情報など有益な情報に出会わせてくれます。能動的には出会えなかった情報を提示してくれることも少なくありません。そのような出会いをセレンディピティと言いますが、プラットフォーマーはもはや自分より自分の好みを理解している存在なのです。

ヒットコンテンツもデータから生まれる

スクリーンショット 2019-11-22 19.57.50

(出典:https://www.netflix.com/jp/title/80057281

『ストレンジャー・シングス』を知っていますか。オンデマンド動画配信サービスのNETFLIXがオリジナル製作しているSFドラマです。このパート3が2019年の7月に公開されましたが、驚くことに開始4日間で視聴世帯数が4070万に達したというのです。しかもそのうち1820万世帯は、その期間に全8話を視聴完了済という驚異の実績でした。(※2)

スクリーンショット 2019-11-22 20.00.47

(出典:http://www.kiminona.com/

前提条件に違いはありますが、映画『君の名は』の国内動員数が、およそ1900万人。日本歴代3位。この規模を4日間で実現しているのですから圧倒的です。このコンテンツ開発を行っているNETFLIXのデータ利活用について、同社プロダクト最高責任者のグレッグ・ピーターズ氏が以下のように語っています。

コンテンツについては、監督やキャスト、脚本はもちろん、どれくらい見る人にとって複雑な内容か、シーンの数、ロケーションの数といったデータを組み合わせて、それがメンバーに合ったものかを検討します。(※3)

こういった詳細なデータを裏付けに、年間1.6兆円(2019年)の費用をかけてコンテンツを製作しているのがNETFLIXです。ヒットしないリスクをデータを用いて最小限に抑えた上で、莫大な投資を行う。結果、世界中を釘付けにしているのです。

先日の記事で紹介した信用スコアも正にデータ駆動型の代表格と言えるサービスです。

たとえば芝麻信用で得た一定のスコアを示せば、サービスの提供主体であるアリババ(阿里巴巴集団)系列のホテルではデポジットが免除され、不動産賃貸サイトでは敷金が不要になり、ローンに際しても審査期間が短縮されたり金利が優遇されるようになっている。また、公共図書館でもデポジットが不要になり、後払いで病院での診察を受けることができ、さらには預金残高の証明を提出することなく外国のビザを得ることができるようにさえなっているという。(※4)

データを活用してもらうことで私たちは恩恵を受けている

活用されるデータはプライベートな内容を多分に含むので、慎重な管理を要望する声は常に存在、ルール整備が現在進行形ですすんでいます。一方で企業によるデータ利活用を必要以上に抑制すれば、ユーザの機会損失にもつながることもありえます。私たちも適切なバランスを見極めていく必要があります。

次回は、データにまつわるプラットフォーマーや国家の動向をお話ししたいと思います。

今後もDXの考え方や中国・アメリカをはじめとした海外の情報・事例を配信していきますので、Kaizen Platform公式noteのフォローをぜひお願いします!

※1
https://wired.jp/2019/08/08/data-is-not-the-new-oil/
※2 NetflixのTwitter投稿
https://twitter.com/netflix/status/1148359444188712960
※3
https://xtrend.nikkei.com/atcl/trn/pickup/15/1003590/060101710/
※4
総務省 学術雑誌『情報通信政策研究』 第 2 巻第 2 号「個人信用スコアの社会的意義」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000605069.pdf

お知らせ

Kaizen Platform、NewsPicksと共同で実践的なDX人材の育成を目的とした法人向けプログラム「DX人材養成講座」を提供。https://go.kaizenplatform.com/dx_ncs.html

写真:©︎blueprint

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!