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マーケティングに目覚めるきっかけは「人の役に立ちたい」


野林 徳行さんインタビュー 第1話(全4話)

「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。

第三回目はリクルート、ブックオフ、LAWSON、レッグス、FiNC、鎌倉新書で「誰かの笑顔」を追い求めてきた野林徳行さんに、「のばさんには考えかたの基礎を教わった」と語る須藤憲司が日々の疑問について質問していきました。
第1話では「野林さんがマーケティングに目覚めるきっかけ」。
野林さんが「その後の人生を変えた」とまで言うブックオフの経験とはどのようなものだったのか、ブックオフに入るきっかけからどんな体験をしたのかをうかがいました。

「キャラクターにはスキャンダルがない」

須藤:
リクルートに入社したとき、のばさんに挨拶しに行ったら「おうよろしく!俺一ヶ月後に辞めるからあと頼んだ」と言われたのはいまでも覚えてますよ(笑)。
あのあとはLAWSONに行ったんですよね。

野林さん:
LAWSONに行って、とにかくわざわざローソンに来る理由を創り続けた。チケットの独占販売とかキャラクターを使ったキャンペーンとか。リラックマのお皿がもらえるキャンペーンは代表例ですね。キャラクターを使ったキャンペーンについては、元ローソン、元レッグズってことでいまでも講演を依頼されますね。

須藤:
前に「リラックマは不倫をしない」と仰ってましたけど、どういうことですか?

野林さん:
リラックマはタバコを吸わないミッフィーは解散しないし、キティは人を殴らない。つまり、リアルの人と違ってキャラクターにはスキャンダルがない。LAWSONは一万店のフランチャイズをかかえているので、「作り直し」は大打撃になってしまう。オーナーやアルバイトが「なんでこんな人を使っているんだ」と言われちゃうことも避けないといけない。

須藤さん:
LAWSONはジブリとかアニメのキャンペーンが多いですよね。当時は出版社だったリクルートから流通小売りに転職したのが面白い。そのあと、のばさんはエンターテインメントや商品企画、プロモーション、そしてITサービスと異業種に行っている。しかも結果を出しているのが凄いすよ。

野林さん:
リクルートも良かったよね。僕がマーケティングに興味を持ったきっかけは、他社と交換留学できるリクルートの「ビジネスビュー」制度。上海の銀行とか、イギリスの企業とか海外に行くことが多い。「英語の勉強をしよう」と思っていたんだけどね。

須藤:
のばさんはブックオフに行ったんですよね。なんでブックオフに行ったんですか?

野林さん:
実は応募してない。僕は選んでない。ブックオフは勢いのある会社だからほかに応募していたリクルート社員が多かったのに、役員から「お前行ってこい」と言われたんだよ。当時ブックオフの坂本さんやH.I.Sの澤田さんは、独立や起業をサポートする雑誌「アントレ」にとって大変影響力ある方々だったからなのかもね。

須藤:
政治的だったんですね(笑)

野林さん:
「古本屋なんて嫌ですよ」と抵抗したんだけど、ブックオフ創業者で当時社長だった坂本孝さんと会って「行きます!」に変わった。「こんな凄い経営者がいるんだ!」って驚いた。ブックオフで働いたのは半年だけだったんだけど、そのあとの人生が大きく変わったと思う。

須藤:
のばさんがマーケティングに興味を持ったきっかけってどんなことだったんですか?

野林さん:
ブックオフで荻窪店の立ち上げに関わって、カスタマーマーケティングが面白くなったから。それまでは事業企画、債権回収、人事教育に関わっていて、マーケティングには一切触れてこなかった。荻窪店は駐車場もない、家賃も高い。当時のブックオフのセオリーからハズれているので社内から反対の声が多かったんだよね。

須藤:
ブックオフのビジネスモデルは、郊外にあって車で本を持ってきてもらって買い取るそれを販売するローカルtoローカルの地場のビジネスですよね。荻窪店だと本を買い取ることができないですよね。

野林さん:
だから地道に街を歩いてインタビューし続けて、「どうやったらできるだろう」と考えていった。お客様が車でお店まで来られないなら、車以外で本を持ってこられる仕組みを考えればいいんじゃないか。段ボールに本を詰めて郵送で送ってもらえれば、駐車場は必要ないよね。

須藤:
いきなり郵送してもらうのって難しいじゃないですか。どんな工夫をしたんですか?

野林さん:
全国の新聞に「なんとブックオフが荻窪にオープン!」って広告を出した。「本買います」「本をミカン箱に入れて郵送してくれたら郵便為替で返します」、郵便局は全国に2万4千局ある。どんなところから送っても換金できるよね。鹿児島や鳥取、北海道の新聞にも広告を出したから、「うちの県に荻窪なんて地名あったっけ?」と思われたかもね(笑)。

須藤:
いまで言うとメルカリですね。

野林さん:
反対の声が多かったのに荻窪店は他店舗の社内ギネスの3倍の月商を出した。あれで「現場、カスタマーを知るのは面白い」と気付いて、リクルートに戻ってから「マーケティングに行かせて欲しい!」って頼んだんだよ。根っからのマーケターとは違うよね。


須藤:
個人的に「凄い」「面白い」と思うマーケターは、元々マーケティングに憧れていない。何かの仕事をきっかけにしてマーケティングに興味を持った人が多いような気がしています。

野林さん:
多分、マーケティングに目覚めるときって「人の役に立ちたい」みたいな想いがあるような気がする。どうやったら役に立てるのかを考えて、工夫していくから須藤の言う「凄い」「面白い」マーケターになっていくんじゃないかな。僕が書いた「とことん観察マーケティング」って本には、AIDMAとかポートフォリオってマーケティングっぽい言葉は出てこない。一番多いカタカナは「リラックマ」

須藤:
あの本はタイトルに「マーケティング」ってあるのに、マーケティングで使われる用語が出てこないんですよね(笑)。

野林さん:
ナントカ理論とか綺麗なパワーポイント資料って騙されている気がする。「それで本当に上手くいくなら世の中もっと上手くいっているんじゃないの?」って思う。僕が提案するとき、相手もそう思っているかもしれないよね。だから、そう言う言葉はなるべく使わないようにした。そのほうが提案を自然に受け入れてもらえる気もするしね。もちろん、理論も手法も否定しないですよ。

→第2話「『誰を笑顔にしたいのか?』が説明できたら良いアイデアなんじゃないか」に続く


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