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「紙」の依存から脱却し、新しいコミュニケーションを。DNPが取り組む、チラシの動画化施策

「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。

デジタルコミュニケーションが発達した現在でも、チラシやポスターをはじめとする「紙」によるコミュニケーションはデジタルにはないメリットがある広告手法です。たとえば地元スーパーの特売や、近所の新規オープンのお知らせといった、鮮度の高い、地域をターゲティングしたリッチなコンテンツを消費者に届けられることは、折り込みチラシや街のポスターが持つ変わらない強み。

しかし、昨今では紙の原材料費の高騰や若年層の新聞離れによって、今までと同じ予算や広告手法では、これまで通りのターゲットにリーチさせることがだんだんと難しくなってきました。こうした課題に対して、大日本印刷株式会社(以下、DNP)とKaizen Platfomでは「チラシの動画化」、そして「チラシと同時に動画広告の配信」という取り組みを進めています。その取り組み内容について、お話をうかがいました。

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デジタルマーケティング本部 ビジネス企画開発部=(写真左)吉村 涼氏(写真右)小山 裕加里氏

デジタルマーケティングに関するメディアプランニングを担当。クライアントが抱える課題を解決するためのコミュニケーション設計を行っている。

コスト増と若年層の新聞離れ。紙のコミュニケーションが抱える課題

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──デジタルマーケティング本部で感じられていた業界の課題感について教えてください。

小山 裕加里氏(以下、小山) DNPではこれまでチラシ、DM、ポスターといった「紙」に特化したオフラインのコミュニケーションのご提供にずっと取り組んできた経緯があり、その反面、「デジタル」によるオンラインコミュニケーションが弱かったという課題がありました。

通信規格が5Gになり、モバイルデータ通信量の80%が動画にシフトしていくだろうという予測もあるなかで、企業と消費者コミュニケーションとしての動画広告は今後ますます延びていくだろうと、ある種の危機感も感じていました。

──そうした危機感は業務のなかでどのように感じられていたのでしょうか。

小山 まず目に見える数字として、「紙」への広告予算がじわじわと減少していきました。その背景にあるのが、マーケティングの課題です。たとえば折込チラシはファミリー層や若年層にリーチしにくくなったとクライアント様からよくご相談を受けるのですが、これは今の20~30代の新聞購読数が大幅に減ってしまったことが原因です。家電量販店さんや地方のスーパーマーケットさんといった流通業界では特にその危機感が強いと感じています。

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──クライアント様からはどのような相談があるのでしょうか。

小山 「デジタル化を進めていく必要があるのは分かる。ただ、その具体的なイメージができない」とよくご相談いただきます。実際に数字で効果を見ても、チラシとの効果の比較ができず、トライアルで終ってしまうことも珍しくありません。

「眼の前にモノがある」という安心感、「チラシという物体があって、それが直接消費者の手に渡る」という経験から脱却するのは本当に難しい。紙メディアに依存し過ぎてしまい、新しいコミュニケーションに踏み込めない状態を、より良いコミュニケーション設計にチューニングしていくこと、それがデジタルマーケティング本部のミッションでもあります。

──昨今、チラシのコストが高騰しているとうかがいました。

小山 その通りです。特に紙の原材料費、運送費が上がったことで、チラシの制作コストも上がっているという背景もあり、より一層デジタルシフトへの流れが加速している印象です。ここ最近で変化が大きく、紙の原材料費が大幅に増加、特に毎週チラシを打たれている企業は頭を悩ませています。

動画広告を折り込みに合わせて配信するために必要であった「スピード感

──クライアント様のデジタルコミュニケーションとして、具体的にどのようなお取り組みをされていたのでしょうか。

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吉村 涼氏(以下、吉村) 静止画であるデジタルチラシのサービスは一時期行っていました。チラシアプリや企業のオウンドメディアに、最新のチラシデータを掲載するというものだったのですが、自らチラシにアクセスするユーザーがそもそも少なく、あまり上手くいきませんでした。チラシは基本的に「配られるもの」なので、わざわざアクセスして見に行くというユーザーの行動は増えなかったんです。

弊社の問題意識としても、デジタルで集客させるコミュニケーション設計が上手くできていなかったことが挙げられます。紙のデジタル化、特にデジタルチラシの取り組みは紆余曲折を3,4年ほど繰り返してきました。

──そのなかで、今回のチラシのウェブ動画化のお取り組みはどのようなきっかけでスタートしたのでしょうか。

小山 「制作物のデータを早く、そして安く制作するには?」という課題が出たとき、Kaizen Platformさんとご一緒してお仕事したいという話がチーム内で自然と出てきました。とはいえ、弊社内にも動画を制作できるクリエイティブチームは存在します。それでもご一緒したかった理由は「低単価かつ大量に」動画クリエイティブを制作できることにあります。チラシのメッセージによって、動画を分けて制作したかったので、特に「大量に」制作できることは必須条件でした。

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──改めて、今回の弊社とのお取り組みについて教えてください。

小山 簡単に説明しますと、チラシ折込日と同じ日に、チラシのデータをもとにした動画広告を配信する、という取り組みです。DNPの強みである、「紙」によるオフラインコミュニケーション、そして動画広告によるオンラインコミュニケーション、この両方がカバーできる施策として、開発を進めてきました。

──今回のお取り組みで重要であったポイントを教えてください。

吉村 チラシの折込日に合わせるための「スピード感」です。折込のタイミングはクライアントさんごとに違うのですが、基本的には、制作~校了~折込までが5営業日ほど。チラシ動画に関しても、制作に2営業日+入稿&審査3営業日で、折込の制作スピードに合わせています。この取り組みは2018年9月にリリースしました。

──クライアント様からの評価はいかがでしたか。

吉村 「そんな速く作れるんだ」という嬉しいお声をいただきました。動画のクオリティも申し分なかったですね。長年お取引させている家電量販店さんからは、店舗別にも動画を制作したいとのご相談があり、今後も拡大していきそうです。

──その家電量販店さんからは具体的にどのようなフィードバックがあったのでしょうか。

吉村 訴求したいメッセージ通りの動画クリエイティブを安価に制作でき、さらにその配信を元にPDCAを回すことができると高い評価をいただきました。

クライアントが抱えてられていた課題は「若年層認知の拡大」、既存のマスメディアと紙メディアではカバーできない層へのリーチでした。現在は月に3~4本のチラシを制作させていただいており、合わせて動画の制作も行っております。新規店舗のオープンプロモーションのチラシでも取り組みをしております。

──定量的な成果はいかがでしたか。

吉村 動画クリエイティブは本当に想定していた通りの数字が出ました。従来のチラシではなかなかリーチできていない20~40代の視聴完了率が、広告表示回数の30%という平均よりも高い数値が出ました。また、最近では精度の高い来店計測が可能で、通常家電量販店業界の来店率は2%程度なのですが、エリアによっては4%という高い数値で着地しました。適切なメッセージを生活者に届けることで、きちんと来店、ひいては購買に繋がる実感がありますね。

営業資料や教育コンテンツ。多様化する紙資料の動画化

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──チラシの動画化以外ではどのようなお取り組みが考えられそうですか。

吉村 ご相談いただくことが多いのは、広告だけでなくコンテンツとしての動画クリエイティブの制作です。たとえば、営業さんがタブレットでプレゼンするために持っていく動画資料や、社内の教育コンテンツなど、これまで紙資料だったものを動画化してほしいとリクエストを受けるようになりました。売り上げにつながる動画コンテンツの制作は今後強めていく必要があると思っています。

──今回のお取り組みから、今後の展望について教えてください。

小山 DNPとして、「チラシを全部デジタルにしましょう」という話ではなく、「チラシとデジタルをうまく活用しましょう」という提案をしていきたいですね。チラシには信頼度のある新聞に折り込まれているという変わらない価値があります。年齢が高い層にもしっかりリーチしながら、一緒にオンラインもオフラインも両方ハイブリッドでしっかり情報を届けていきたいですね。

そのために、これまでチラシに投下していた予算のうち、どれだけの割合をデジタルに移行すれば効果がでるのか仮説を立て、しっかりクライアント様の売り上げにつながるコミュニケーション設計に取り組んでいきます。

吉村 チラシはユーザーにとっても嬉しいコミュニケーション手段だと思うんです。たとえば今日のセールであったり、地元の新しいお店のオープンであったり、鮮度の高いリッチなコンテンツがチラシには掲載されます。それをより早く生活者の皆様に届けることが、効果に繋がり、クライアント様のためになると考えています。

小山 チラシをはじめ、「紙」の知識がある我々DNPと、動画制作に長けているKaizen Platformさん。チラシと動画、オフラインとオンラインを駆使し、クライアント様のビジネス課題に寄り添い、しっかり売り上げ向上に貢献していきます。

──ありがとうございました。

<取材・文・写真= 大木一真>

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