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「仕事人生を豊かにするにはストレスフリーな環境」地方在住の映像クリエイター3名が語る『自分らしい働きかた』【後編】

全国で約10,000名のクリエイターが登録するKaizen Platformが、オンラインでクリエイターのみなさんとトークイベントを定期開催。本noteでは、そのレポートを掲載いたします。

今回のテーマは、「自分らしい働き方」。グロースハッカーとして活躍する、北古賀紀行さん、重山知久さん、西村大さんの3名にご登壇いただきました。前編未読の方はぜひこちらからお読みください。

前編に引き続き、こちらではトーク後編の様子をお届けします。

「僕らは鵜匠にはなれない」映像クリエイターが50歳で初めて弟子をとった理由

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Taizo 以前、デザインの力で人は動くという話をされてましたね。映像制作で弟子をとっていらっしゃいますが、それも地方創生の活動の一つとして、ですか? 最初聞いたとき、弟子!? ってびっくりしたんです。

重山 ははは、それもあります。今までフリーランスの仲間や後輩とたくさん仕事してきて、仕事がうまくいってるときはいいけど、仕事がなくなると当然離れていくんですよ。そのとき、誰かに仕事をお願いして、そこから僕が何パーセントか、マージンをもらうという考え方をまず捨てようって思って。

とりあえず、自分ができる限り全部働こう、そしてそれを若い子に全部教えよう。僕は今50歳なんですけど、10年後くらいにもし僕のビジネスで手が足りないときがあったら、ちょっとでも手を貸してもらえたらいいなっていう期待です。

北古賀 うむ。

重山 この間、敏腕経営者に会ってその話をしたら「その考え方はどうかな」って言われちゃったんだけど(笑)。でも僕らは職人みたいなもんだと思ってるんです。そんな意味で、師弟関係って漫才とか落語家とか、ああいう世界が近いんじゃないかと。

僕一人がクリエイターとして食べ続けることだけを考えるんじゃなくて、地域のことやクリエイター業界のことも考えていきたい。僕らの年齢がやんないと、もう誰もやってくれないと思ってるから。そこで頑張って何かを残して、40代30代の人たちも続いてくれる人がいれば、楽しいなと思ってますね。最近は、弟子が増えるごとにMacを買ってますよ(笑)。

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Taizo うなずいてらっしゃいますが、重山さんの弟子をとるスタイルと、北古賀さんの講座を開くスタイルって、同じ気持ちからですか?

北古賀 近いかもしれませんね。僕も10年前、会社を立ち上げたときに同じく下の世代を増やしたいと思って、当時は自分が鵜飼の鵜匠(※)になるつもりでやってたけど。まあやっぱりそういう考えはうまくいきませんからね(苦笑)。

(※)……鵜(う)を巧みに操って川にいる魚を獲る漁法で、鵜匠はそれを職業にする人

重山 でしょう? 僕もそれを実感したんです。クリエイターには無理です。仕事ができる人はキャリアアップしてどんどん環境を変えていく。会社員であればもっと給料のいいところへ転職していく、そういうものなんです。

西村 僕の友人のカメラマンも弟子をとっていますが、同じように「育てたそばからどんどん巣立っていって誰も残らない」って。

重山 いいんですよ、残らなくて。ただ、離れた後も、何年ぶりかに電話して飲みに行って、「ちょっとこんな話があるんだけど手伝える?」「あー俺今暇なんで手伝いますよ!」みたいな、そういう関係が成り立てばうれしいな。

北古賀 うん、ですね。

いかに仕事人生を豊かにするか。自分でできる“働き方改革”

Taizo 西村さんは現在の環境に変えて「不要なコミュニケーションが発生しなくなった」と話されていましたが、みなさんは今の働き方に変えてどんな変化がありましたかね。たとえば、時間の自由度はどうですか?

北古賀 何をもって「自由度が高い」とするかですけどねえ。単純に仕事を受けなきゃいっぱい寝られるし、たくさん受ければ寝ずにやることもあります。

ただ、私ごとですが去年、都内に住んでいる子供が急病になりまして。急遽うちの奥さんが東京へ行って、家のことはすべて僕がやらないといけなくなったときに思ったのは、これが会社員だったら完全にアウトだったなと。「明日から16時に退社していいですか」「いいですよ」って会社はそうそうないと思うので。そう考えるとこの仕事は自由だなと思います。

Taizo 16時で! OK! って言うのは弊社ぐらいじゃないですかね。

北古賀 そうでしょうね(笑)。

Taizo 西村さんはどうですか?

西村 僕はそもそも体を壊して実家に戻ってきたので、前提として時間に余裕がある働き方をしたい、というのがありました。なので今、自由度は高いです。朝、二時間寝坊しても誰も怒りませんし、早寝しようが遅寝しようが誰からも文句を言われないのは、自由でいいなって思いますね。もっと言うと、家の目の前が海なんですよ。

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北古賀 いいなあ!

西村 「よし泳ぎに行こう」と思ったらすぐ海へ行って、帰ったら昼寝して、さて仕事するかっていうのも許されます。最近サーフィンも始めてより楽しくなりました。犬や猫と遊びながら仕事をしてもいい。これって最高だなあと思っているんですけど。

重山 そういう働き方がしたい(笑)。

西村 こんな働き方をするんだっていうのが一つの目的としてあっていいんじゃないかなと僕は思います。

Taizo でもそれだけ自由が利くと、仕事を投げだしたくなくなりませんか……?

西村 僕はクリエイティブが好きだからならないです。結局、そこが一番大切なんだろうなって思いますね。動画制作を始めて日が浅いので、まだまだ案件をもらうたびにどうしようって青い顔しながら悩んで悩んで、悩みながらやってますけど、嫌いじゃないです。動画がうまく出来たときはやっぱり楽しいなあと思います。

北古賀 うん同じ。大変だけど、辞めたいとは思わないもんね。

重山 いろいろ一人で愚痴を言いながらやることもありますけど、楽しいですよね。

北古賀 そう考えると、企業の働き方改革って、今は残業をいかに減らすか、いかに生産性を上げるかみたいな議論がひとり歩きしてますけど、個人にとっては単に労働時間の話じゃないですよね。もちろん健康は第一ですが、他にも考えるべきテーマがある気がします。

Taizo いかに仕事人生を豊かにできるか、ということですね。

重山 西村さんみたく、仕事内容が自分に合っていて働くことに幸せを感じられるのが理想ですよね。場所も問わないし、融通性もある。インターネット環境さえあれば、このまま外国にいっても仕事ができるから。 

西村 実は最近それを考えまして。旅行しながら仕事してみたいなあって。

重山 たとえば夏は北海道、冬は沖縄とか。地方の安いところは、家賃1万〜2万円でも借りられるから、ちょっと北海道に家借りておこうってことも頑張ればできるわけですよね。

西村 そんな生活、憧れます。

重山 地方は、住んでくれたらお金あげるよってところもあるんですよ。移住する人に、数年間の家賃分くらいの補助金や奨励金が出るとかね。そうやって、なんとか地方に住んでもらえる人を増やしていこうって動きがたくさんあるのに、まだ情報がうまく行き届いてない。この話だったら二時間くらい平気で喋っちゃうよ(笑)。

Taizo そういう情報と、グロースハッカーみたいな働き方があるんだってことを同時に知ってもらえたらいいんですが。

重山 僕、自宅とは別で福岡の糸島というところに一軒家を借りてるんです。誰か2ヶ月くらい、住み込みでAfter Effects(動画編集ソフト)を本気で勉強しようって人がいたら教えてください。歩いて100メートルくらいの場所に綺麗な砂浜の海があって、たぶん海まで裸で歩いても誰にも気づかれないような場所です。まあ田舎なので、万が一見られたらすぐ噂にはなりますけど。

Taizo やめてくださいね!(笑) 捕まるのは。

自分らしい働き方とは、ストレスフリーで働ける環境を見つけること

Taizo 今日のテーマに戻るんですが、もっと全国、いや世界各地にKaizen Platformと仕事する人がいたら楽しいなあって思うんですね。僕もたまに各地にお邪魔してグロースハッカーのみなさんに直接会うことがありますが、いつも勉強させていただいてるので。

なので、最後に一実践者として、地方で生活しながらグロースハッカーとして僕らと働くことについて、どんな風に捉えられているのかを聞きたいです。

北古賀 うーん、僕は気づいたら今の働き方に行き着いたような形だったので、あまり深く考えてなかったんですがね。

だけど、僕らのように過去に首都圏にいて、すでにクライアントなどの繋がりを持っている人だけが地方でこういった働き方を選択するというイメージがまだ強いのかなという気がします。正直、もし僕が田舎で細々とこの仕事を始めていたとしたら、Kaizen Platformに行き着けたかどうかはわかりません。

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Taizo そこは僕らももっと情報提供をしていかなければいけないと思います。

重山 僕は、福岡をそこまで田舎とも思ってないんですよ。初めて来た人はびっくりするくらい、意外とそこそこ都会で、でもそこそこ自然もあって。実は僕も横浜に住んでたこともあるし、生まれは大阪だけど、やっぱり自分にとっては福岡が住みやすいんです。

西村 都会ですよね。逆に僕は神奈川でも、コンビニは滅多にありません。

Taizo そう思うと、各都道府県にもっているイメージと、実際行ってみるのとでは全然違うかもしれませんね。今住んでいる場所がベストだと思っている人も、実は自分が心地よいと思う場所が他にもたくさんあるかもしれません。

西村 Taizoさんがおっしゃったように、自分に合っている環境ってあると思うんですよ。僕にとって地方でリモートワーカーをする意味とは「気楽さ」です。

最初に言ったような朝礼とか会議とか会社の儀礼っぽいものを全部とっぱらって、すべてのリソースを作業だけに充てられるようになったら、効率も上がった。それで早く仕事が終わったら、海や温泉に行ってもいい。繁華街やデパートはないですけど、こういう環境を望む人が、もっと手放しで地方という選択肢を持てたらいいなと思います。

Taizo そのためには、「食べていけるかどうか」「仕事があるかどうか」といった心配ごとをクリアにしないといけないですね。

お話を聞いていて、自分にとってストレスフリーの場所で働ける=自分らしい働き方ということかも、と一つ答えがでました。ストレスフリーか……。僕は、西村さんの環境にいたらきっとダメになるタイプなんですよ。

西村 わはは!

北古賀 僕も先に海に行っちゃいそうで怖い(笑)。

西村 それは否めません。僕は何十年とこの環境にいて慣れてるから大丈夫なんだと思います。

Taizo そうですよね。えっと、どうしよう、この回の締め方がわからなくなってきました(笑)。

重山 これからも、僕らは頑張ってKaizen Platformから受けた仕事を良い形で返して、Kaizen Platformさんはもっと業界を盛り上げて、この循環が潤沢に回るようにして。そうすると、自分の理想に近い生活ができる人が増えるんじゃないのってことですよね? 田舎でも都会でも、好きな場所で。

Taizo はい、その通りです! 今日みなさんのお話が聞けてすごくうれしかったんです。僕も入社して、5年ほど「自分らしい働き方」というのを模索してきましたが、実際にそれを実現している、またはしようとしているみなさんの体験談を聞いて頼もしく感じました。そんな方をもっと増やせるように、さまざまな働き方の選択肢を一緒に作っていけたらいいなと思います。試行錯誤しながらですが、今後ともよろしくお願いします。

重山 まずは、ネット環境を整えてからですね(笑)。
(編集部注:この日Taizoは広島で仕事をしており、Wi-Fi接続がうまくいかずzoomが何度も固まっていました)

Taizo そうします(笑)。本日はありがとうございました!


前編記事

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