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DXことはじめ。デジタルは人をエンパワーする

『DXプレイブック』は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の専門家集団 Kaizen Platformの須藤による解説シリーズ。loT、サブスクリプション、AI、D2C、OMO、MaaSなどをキーワードに「DXとは?」を考えるDXの入門書です。

Digital empowers people.

デジタルの本質を捉えるためには、ふたつの社会システム(民主主義と資本主義)がもたらしてきた流れを汲む必要があります。なぜならデジタルもその流れの中にあるからです。

民主主義は、王様の権力に対抗するものとして市民革命時代に隆盛します。ブルジョア層の特権だった政治権力が、長い過程を経て民衆の手に渡り、世界の多くの国で採用されるシステムに至りました。

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もう一方の資本主義。法人の議決権を株式を通じて複数名に付与し、資本家を通じて起業家をエンパワーメントすること。それが資本主義の本質です。資本主義下で大きな利益を得たブルジョア層が、その資金力を背景に政治への発言力を高めていった(そして占有しすぎた)ことが、先ほどの市民革命、つまり民主主義化に繋がっていったという流れもあります。

このように、長きにわたって密接に絡み合ってきた二つのシステムは、いずれも個人をエンパワーしてきました。「デジタル」もその流れを受けて、加速増幅する概念なのです。パーソナルコンピュータ、インターネット、モバイルといった環境変化は個人の可能性を大きく広げました。

デジタルはどのように個人をエンパワーするのか。

では、これからの「デジタル」はいかにして個人をエンパワーするのか。それは、ヒトがもつ力を拡張することによってなされます。
          
たとえば人工知能は、その名の通り、脳、つまりインテリジェンス(知性)の拡張です。ヒトが到底処理しきれない多くの情報を短時間で処理し、判断してくれます。囲碁、将棋、チェスのAIがニュースを賑わしたのも記憶に新しいですね。

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その精度を高める技術も出てきました。センサーによって五感にまつわる情報やヒトが知覚できない情報を増幅し、インプットすることが可能になっています。感覚器官の拡張が起きているのです。人間の目よりよっぽど明るく風景を捉えるスマホカメラのナイトモードなどが好例と言えるでしょう。

そういった膨大なデータを瞬時にやりとりするのに有用なのが5Gの技術です。さながら血管の拡張。各器官を動かすための血の巡りをよくします。そして、そのデータやアルゴリズムは、クラウドにリスクを最小化した形で保管されます。これはいわば心臓の拡張といえます。

万物はコネクトしていく

そういった技術を複合的に活用したIoTは、もはや一般に定着しているワードですね。Internet Of Thingsの頭文字をとった略語です。

日本ではモノのインターネットと言われますが、ここではThingsをモノではなく森羅万象と訳した方が、この言葉の持つ本質的な可能性を理解しやすくなります。冷蔵庫や洗濯機がインターネットに接続するだけでなく、森羅万象あらゆるモノゴトがインターネットを通じてコネクトする。その概念を表したのがIoTなのです。

ふだん自分が意識しなくとも、生体はバランスをとってくれています。感覚器官や臓器は互いに連携し、暑ければ汗が勝手に流れます。そのような最適化が、範囲や対象を拡張して行われるのです。森羅万象がコネクトし、もはやヒトの無意識下で様々な調整や判断、最適化が行われる。

たとえば国内でも提供が始まっている信用スコアサービスです。様々なサービス利用データを元に、多角的に与信能力などを算出。ノンストップで保険やローン申し込みなどを実現します。これによって利便性の向上のみならず、従来の方法では信用がなかった方々(フリーランスや外国人など)のエンパワーメントにつながることも期待されています。

このように、社会に地殻変動を起こす可能性を秘めているのがデジタルトランスフォーメーションなのです。

ぐっと気が利いている世界へ

あらゆるサービスの「五感」や「器官」がデジタルによって拡張され、ぐっと気が利くサービスに生まれ変わるかもしれません。新たなビジネスチャンスが生まれ、商習慣が変わることもあるでしょう。

大事なのは、デジタル化すること自体ではなく、デジタルを用いてどんな姿にトランスフォームするのかです。それを想像するヒントは、先行してトランスフォームしている国や産業にあります。

このシリーズでは、デジタルトランスフォーメーションの概念を丁寧に解説するとともに、D2Cやニューリテールとなどのトレンドワードを、最新事例とともに、順次紹介していきますので参考にしてください!

今後もDXの考え方や中国・アメリカをはじめとした海外の情報・事例を配信していきますので、Kaizen Platform公式noteのフォローをぜひお願いします!

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