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「クリエイター寿命」50歳問題。グロースハッカーという仕事に出会い見つけた新たな需要とは

クライアント企業の事業最大化を実現する、Kaizen Platformにおいて欠かせない存在が、デザインとエンジニアリングのスキルを備えた「グロースハッカー」の方々。

WebサイトやUI画面の改善案を作成したり、バナーや資料をより目にとまりやすい動画にしたりすることで、事業をグロースさせる役割を担います。

今回お話をうかがうのは、グロースハッカーの重山知久さん。

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自身が福岡に構える会社で、地元・九州の祭りやイベントのポスター、チラシ、TVCMなどをつくるクリエイターとして活躍する傍ら、オンラインを通して『Kaizen Ad』(Kaizen Platformが運営する高速動画制作サービス)の動画制作を担われています。

そんな重山さんに、グロースハッカーになったきっかけやKaizen Platformに期待すること、これからの展望についてうかがいました。

《聞き手・TAIZO(Kaizen Platform)》

重山知久さん。2003年、福岡のライブハウス「アーリービリーバーズ」を運営。2004年から2009年まで広告代理店に勤務し、映像クリエーターとしてTVCMを制作。2009年より「273ディレクションズ」を開業、DTPとTVCMの映像制作を中心に活動している

厳しさ増す広告規制、ローカルTVCMの仕事の売り上げは1/3以下に

──重山さんは『Kaizen Ad』の立ち上げ期から参画いただいているベテランなので、聞きたいことがたくさんあります。まず、Kaizenと出会ったきっかけってなんだったのでしょう?

重山知久さん(以下、重山) きっかけは、福岡のエージェントに勤めている友人からの紹介です。

僕の会社では、TVCMや、DTPといって地元のスーパーやパチンコ店などのチラシ、企業さんのパンフレットなどを作っているんですが、昔に比べると出稿量が減少していて。「なにかないかな?」と思っていたところで、映像クリエイターを探していると聞き、紹介してもらったのがKaizenさんでした。

──具体的には、どれくらい出稿量が減少している実感がありますか?

重山  東日本大震災などの影響で広告の規制が厳しくなり、とくにローカルTVCMの仕事は激減しました。チラシに比べると、売り上げは1/3以下になりましたね。

紙の制作物も徐々に減ってきているので、DTPの仕事を合わせても、一番忙しかったときと比べると稼ぎは半分になりました。年齢的にも、将来を考えると不安でした。

直取引じゃないから制作に集中できる、グロースハッカーという仕事のメリット

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──ご友人にKaizenを紹介いただいて、最初はどんな印象を受けました?

重山  正直な話をすると、最初は「この単価で映像の仕事なんか成り立つのかな?」と不安でした。でも、1日何本作れるか、やってみないとわからない部分があるので、とりあえずやってみようと。

──『Kaizen Ad』の立ち上げのときにサンプル動画を依頼しましたが、最初のクオリティーが想定以上で、かなり驚いた記憶があります。以降、グロースハッカーとして動画制作を続けてくださっていますが、実際僕たちとの仕事について、どう思っていますか?

重山 Kaizenさんとの仕事で一番良いのは、直取引のクライアントさんとの仕事に比べると打ち合わせやすり合わせなどの時間が少なく、制作だけに集中できること。

同じ制作物でも、直接クライアントさんとやろうとすると、打ち合わせだけで数日取られたり、原稿案を用意しないといけなかったり。制作までの工程が当たり前に発生するので、同じ単価では絶対にできないと思います。月にこなせる本数も1/3ぐらいに減るんじゃないでしょうか。

制作後に関しても、付き合いがあるクライアントさんの場合、こちらが作ったものに対して「これさあ、やっぱりこんな感じじゃなくて……」と企画当初とまったく違うものに変わっていくことがよくあるんです。

そのぶんの制作費は、二回作ったからといって倍の料金をいただけるわけではないですし、そういった予想外のことが発生しないのは嬉しいですよね。

体感差は“2年”。福岡と東京のビジネスモデル

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──Kaizenに対して、今後求めることってなんでしょうか?

重山 ひとつは、弟子を育てたいので、安定した制作案件がもっと増えるとうれしいなということ。

もうひとつは、今後福岡でも競合他社が乱立する流れを感じているので、そのなかで突き抜けていくためにKaizenさんとは率先して先進的なビジネスモデルを体験したいっていう願いがあります。やはり、デジタルの仕事に関してはとくに、ローカルとの温度差ってあるんですよ。

──温度差というと?

重山 たとえば、今Kaizenさんと作っているSNSの動画広告は、福岡で制作しているところはあっても、それを売っている代理店ってまだまだ少ないんですよね。

今は紙の制作物やTVCM、企業PVなどの営業がほとんどです。 Webに関してはいまだにランディングページ(LP)の制作が福岡では需要が大きいと思います。

──今KaizenではLPを作って動画を設置することを推奨していますが、今後福岡でもそうなっていくと思いますか?

重山 もちろんなると思います。体感としては、福岡と都心では2年くらいの時間差があります。

なぜ僕らが出遅れてしまうのかというと、東京ではトレンドを追うのが当然のところ、福岡は商業都市として閉じた経済圏ができてしまっていて、トレンドを取り入れなくてもとりあえずはそれでやっていけてしまうからです。わざわざ危ない橋を渡るより、ある程度見えている道を進むほうが商売として優れているというイメージがある。 これは体質的な話ですね。

ひとつのビジネスモデルの中で、深く技術を構築していくのはおそらくローカルのほうが得意ですが、逆に新しいものは取り入れにくい。その壁を取り壊していくのが、Kaizenさんのようなオンラインを通した仕事に求めることです。

悩めるクリエイター寿命問題。目標は、「60歳までに弟子を100人育てること」

──さきほど「弟子を育てたい」とおっしゃっていましたが、そのきっかけはなんですか?

重山 僕が今年50歳なんです。昔から、クリエイターの寿命って50歳くらいかなと思っていて。

というのも、50歳を過ぎると 、クライアントさんが自分の息子くらいの年齢になることがままあるんです。すると、どうしても知識や経験のある僕らが主導になってしまうから、発注側としては、やっぱりやりにくいようなんですね。

本当は新しいものを作っていかなきゃいけないのに、古いままで進んでいくことになってしまって、クリエイティブの観点からしてもあまりよくない。そういった点から、歳を重ねるほどどんどん仕事が減っていくのは、この業界の個人でやっているクリエイターみんなが抱えている問題だと思います。

──そうしたリスクを考え、弟子を育ててらっしゃるんですね。

重山 仮に自分が60歳になってどんな仕事ができるか考えたとき、企画したりオーガナイズしたりする仕事のほうが増えてくるだろうと思いました。それは若いクリエイターが一緒にやってくれるからこそ、叶うこと。なので今は60歳までに弟子を100人作ることが目標です。

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<写真左> 重山さんの初弟子である、江藤 美加さん。昨年未経験から始め、同じくグロースハッカーとして活躍されています。江藤さん「最初は1案件をこなすのに時間がかかって悩んでいましたが、ひとつずつ作品を作るごとに自信が持てました。目標は、とにかくクオリティを上げつつ、一年後には1日3件こなせるようになることです」

今、1000万円かけた質の高いクリエイティブが作れる人より、1万円のクリエイティブを100件こなせる人の需要が増えてきていると思うんですよ。 100人いれば短納期で一気に処理できます。そういう組織というか、仲間を作っていくほうが、これからのニーズには合ってるのかなと。

──編集ソフトなどの拡充も、経験を積んだクリエイターの仕事が増えない大きな要因なんでしょうか。

重山 当然考えられますね。10年後、今使っている「After Effects(動画編集ソフト)」ももっと簡単に使えるようになっているでしょうから(笑)。

誰もが簡単に動画を作れて、中高校生がつくったものの方が感度がよくクオリティも高くて“バズる”という流れになるかもしれません。だからこそ歳を重ねるごとに変わる需要を汲み取っていきたいと思っています。

人やプロジェクトが大きく動きだし、デザインの力を実感した

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──今の仕事で感じるやりがいはどんなところですか?

重山 人との関わりが増えて実感するのは、おもしろいことにデザインが完成すると急にプロジェクトが動き始めたりするんです。たとえば、僕は福岡で「町おこし」をテーマにした仕事もしていますが、お祭りをやろうというとき、企画の段階でポスターを作ると、だいたいその祭りは実際に開催されるんですね。

ビジュアルで何か見えるものがないと、言葉だけじゃ人って動きにくいんです。それは自分がデザイナーで良かったなって思うところです。

──最後に、グロースハッカーとして働きたいと思っている方へひと言お願いします!

重山 どこにいてもどこに住んでいても、インターネットさえあれば仕事ができるという自由さはとても魅力的だと思います。

一ヶ月間本気で詰め込んで、実際いくら稼げるのか試したところ、グロースハッカーの仕事だけで120万/月ほど稼げました。良い仕事をすればするほど評価をしてもらえる環境なので、自然と仕事は増えると思います。

──ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします!

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取材にご協力いただいた、「273ディレクションズ」のみなさん

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