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SaaSが副店長になる未来。SaaSのデータをどう活かすか?

『DXプレイブック』は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の専門家集団 Kaizen Platformの須藤による解説シリーズ。loT、サブスクリプション、AI、D2C、OMO、MaaSなどをキーワードに「DXとは?」を考えるDXの入門書です。

会計ソフトのfreee社やヘルスケア領域で躍進をつづけるMEDLEY社の上場は記憶に新しいニュースです。

これら企業が提供している主要サービスをSaaSと呼びますが、そもそもSaaSとは何なのか。あらゆる領域でSaaSは勃興していますが、SaaSはどこに向かっていくのか?

そのようなことを今回はお話したいと思います。

SaaSとは何なのか

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SaaSとは「Software as a Service」の略です。サービスとして提供されるソフトウェアのことをSaaSと言います。

ここで言うサービスとは、グッズやモノの対義語としての意味合いで使われています。

グッズとはお金を払ってそれを所有するという考え方がベースにあり「交換価値」によって取引が成立します。ソフトウェアにおいては、買い切り型でローカルで動作するパッケージソフトがその典型でしょう。

一方でサービスは、ソフトウェアそれ自体の所有ではなく「体験価値」にお金を支払うという考え方をします。

ですので利用してもらう以上、継続的な価値発揮のためにアップデートし続けることが一般的ですし、その価値を実感してもらうために利活用サポートを行うケースも多く見られます。その支援はカスタマーサクセスと呼ばれ、SaaSプロバイダにとっても最重要な活動のひとつとして認知されています。

このような思想によって駆動するSaaSは、クラウドないしはSaaSプロバイダ側でソフトウェアを動かし、それをインターネットを介し利用する形態をとります。利用料もその利用ボリュームや利用機能ラインナップによって分岐していることが多く、それを月額など決められたタームで支払います。利用サイドは、そのときに期待する価値に応じたプランを選ぶことができます。

SaaSの本質は、意思決定のサポートにある

たとえばB2BのSaaSは、特定業務の効率化を目的として導入します。これまで紙で作業していた工程や属人的な工程にSaaSを導入すれば、工数の圧縮やミスの極小化が期待できます。たとえばプロジェクトを管理するサービスや請求書などの書類を簡易に発行できるサービスを導入している会社も増えてきました。

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(例)クラウド型企業間決済サービス「MF KESSAI」(出典:https://mfkessai.co.jp/

反復性のある手順を自動的に処理したり、膨大で煩雑な情報の管理はSaaSもといデジタルの得意分野です。

それに加えて、SaaSの本領はもう一歩先にあると私たちは考えています。それは蓄積するログデータを活用した意思決定のサポートです。複雑な意思決定のレコメンドと言ってもいいかもしれません。

会計SaaSであれば、領収書データをもとに自動仕訳をしてくれる世界観です。店舗運営でいえば、バイトの勤怠を管理するだけでなく「希望シフトをもとに次回の最適なシフトを何案か提示してくれる」といった副店長のような働きをSaaSが担うイメージです。過去の売上傾向からみた「コストミニマムなシフト」や「売上が最大化するシフト」「アルバイトの満足度が最大化するシフト」を自動で提案するということです。

SaaSはどこに向かうのか

そのような進化の背景には事業者側の思惑もあります。「意思決定」まで進出することがSaaS事業者としてのマネタイズポイントになりやすいためです。意思決定のサポートを通じてSaaS利用企業の収益性が向上するのであれば、その貢献に応じた費用をいただけるからです。

その点から捉えると、経営や収益により直結する業務の支援にまでSaaSが拡張していくことは王道であることが分かります。

その一例が融資です。従来は構造化できていなかった店舗の取引データを提供することにより金融機関もこれまで意思決定しきれなかった範囲(金額や依頼元)の融資も精度を担保して実行できるようになるでしょう。

たとえば会計ソフトのfreeeでは、取引データをもとにその場で「借りられる融資商品」がわかるサービスがすでに展開されています。

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(例)会計freeeの資金繰り改善ナビ(出典:https://www.freee.co.jp/finance/business-loan/

ほかにも「売上に直結する」領域として、蓄積データを広告出稿と連携させたり、マーケットプレイス自体を運営するなど、特定業務をロックインできているSaaSの染み出し先は多様に考えられます。

さいごに頭の体操としてリクルート社の場合を考えてみると、国内のさらなる発展のためには、たとえばレジSaaSや予約管理SaaSの取引データを優位性として、金融サービスや法人にとって不可欠な通信サービスなどへと拡充していくのが国内事業のつぎの焦点なのではないかと推察できます。(※)


https://twitter.com/sudoken/status/1214183369543569408

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