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「知りたい!」、興味を持って”観察”すること

野林 徳行さんインタビュー 第3話(全4話)

「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。

第三回目はリクルート、ブックオフ、LAWSON、レッグス、FiNC、鎌倉新書で「誰かの笑顔」を追い求めてきた野林徳行さんに、「のばさんには考えかたの基礎を教わった」と語る須藤憲司が日々の疑問や昔野林さんに言ってもらったことについて質問しました。
第3話では「”観察”について」。
観察をすることでどんなことがわかるのか、何が起きるのかをうかがいました。

「尿漏れってどんな感じですか?」

須藤:
この連載、最初はオイシックスの奥谷さんにインタビューさせてもらったんですが、「マーケターには妄想力が大事だよ」と言っていたんです。自分がお客さんならどう思うかを考え抜いて、関係ないものも結びつけちゃう力だよって。のばさんの話しにも通じるところがあるように感じました。

野林さん:
ガテンまんとか作ったよね。ピリ辛もつ煮込みで「ガテン」って文字が入っている肉まんみたいなヤツ。

須藤:
「ガテンまん作ろう!サンクスでやろう!」意味不明ですよね(笑)でも、これが売れる、よく売れた。

野林さん:
サンクスとLAWSONは環八や国道16号に多く出店しているから、ガテンの読者は立ち寄ることが多い。しかも、ガテンの読者は居酒屋でもつ煮込みをよく頼む。あったら嬉しいよね、食べたくなるよね、

須藤:
観察していると、そういう妄想ができるんですよね。

野林さん:
リラックマのお皿ってキャンペーンの終了が近づくと、急に男性客が増えるんだよ。彼氏や旦那さんが「あと少しでキャンペーンが終わっちゃうから、あなたもLAWSONでパン買ってシールをゲットしてよ」と頼まれているんじゃないか。シールを貼った台紙を渡したら「ありがとう!」と言ってもらえているんじゃないか。「久しぶりに聞いたな、嬉しいな」って旦那さんが喜んでいるんじゃないか。店舗に立って、お客さんと触れていると、そういう妄想、ストーリーが浮かんでくるよね。PONTAのデータを見ると、ほんとにそうなっている

須藤:
そういう“観察”って普遍的に大事なことだと思うんです。良いアイデアを出す、誰かが喜んでくれる。その結果が売れる、数字が出る。これがわかっている、染みついている人が減っている気がするんです。

野林さん:
興味を持っているかどうかじゃないかな。「知らなきゃいけない」義務感でやる人と、「知りたい!」欲望でやる人では全く違う。例えば、ドラッグストアに什器を入れました。「5店舗中、4店舗が設置していました。まぁ良い位置でした」で終わる人と、「送る前は良い色合いだなって思っていたんですが、壁の色と同化していました…」「店員さんが取り付けかたを間違えていたみたいなので、説明書を丁寧にしましょう」とか。

須藤:
その違いはありますね。「設置されていたから良い」だけじゃなくて、什器を見ていたお客さんがどんな表情をしていたか、店員さんはどう思ったかも見てみたら良いことある。わからないことがあるなら聞いてみれば良い。

野林さん:
インタビューだってそうだよね。「今日は聞こうと思っていることが10問あります。まず1問目ですが…」「へー面白いですね。次に2問目ですが…」。須藤は、さっきから「それをこの人はこう言っていた」「それってどういうことですか?」って聞いているじゃない。興味を持っているとその場で聞きたいことができるから、2問目に行けないんだよね(笑)。そして、そういう話しからポロっと出てきた言葉にヒントがある。

須藤:
そこにビッグデータやいまで言うAI、マーケティング理論をくっつけると最強ですよね。「バズる企画お願いします」なんて意味のわからない会話にはならない

野林さん:
そうそう、「このステキをどうやったらカタチにできるのか、どうやったら伝えられるのか」、その結果がバズるなんだよね。おむつのマーケティングを任されたら、おむつを履いてみれば良い。履くだけじゃわからないことは、おむつをしてそうな人に聞いてみれば良い。飲み屋で「紙って嫌ですか?」「失礼なんですけど…尿漏れってどんな感じなんですか?」なんて聞いたこともある。

須藤:
それは面白いですね(笑)。でも本当にそうだと思います。

野林さん:
いま、女子校でマーケティングの授業を受け持っているんだけど、距離を縮めようと安室奈美恵の話しをしてみるの。反応がないし、むしろ距離が開く感じがする(笑)。それでもこっちが興味を持って話しをしていると「この前、大好きなYoutuberが近所のイオンモールでサイン会をやっていて号泣しました」なんて話してくれる。そうか、この子の嬉しいことはYoutuberだったんだって教えてもらえた気がする。

須藤:
授業ではどんなことをやっているんですか?

野林さん:
例えば、スタバとドトールの違いは何かを議論する。ドトールよりスタバのほうが値段は高いんだけど、みんなスタバに行くんだよね。「ドトールはタバコ吸うおじさんがいて嫌だから」って話しもあるけど、「カップに『受験頑張ってね』って書いてくれる」「勉強していても追い出されない」って話しも出てくる。これがとっても重要。

須藤:
「じゃあどうしようか」が考えられますね。タバコだけだと「禁煙にする」しか手がないけど、禁煙にしたから繁盛するってイメージは浮かびません。

野林さん:
「でも忙しいサラリーマンが、ホットドッグとコーヒー、たばこ2本吸って次の営業に行くんでしょ…」とか言いますよ。

野林さん:
「この人はこんな喜びがあるんだ」を知っていれば、「じゃあこうしてみたらもっと喜んでくれるかな」が浮かんでくる。「みんなが」だと、そのうちなぜやっているのかわからなくなる。「誰?」で考えることが大事。居酒屋でもずっとこういう話しをしていたい。「面白そうだ」と思うと寄ってくる人がいて「俺はこう思うよ」と話してくれる。そういう話しを聞いていると興味ってどんどん膨らんでいくと思うんだよね。

→最終話「現場に溢れている「心が揺れた」瞬間を見つけていく」に続く


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