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FiNCの動画マーケティングで、なぜKaizen Adは成果につながらなかったのか

「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。

「ヘルスケア/フィットネス」カテゴリ※1・ダイエットアプリ※2においてダウンロード数国内No.1の「FiNC」アプリを提供している、予防ヘルスケア✕AIテクノロジー(人工知能)に特化したヘルステックベンチャーの株式会社 FiNC Technologies。

主力事業であるスマートフォン向けアプリは、ブランド強化として今年の7月に女優の中村アンさんを起用した全国テレビCMを放映するなど、積極的なマーケティング戦略を打ち出している。

動画マーケティングにも注力しており、以前はKaizen Adを利用して動画制作を一部行っていたものの明確な成果につながらず、取り組みは中断となった。今回の記事では「上手くいかなかった」事例を取り上げ、なぜ取り組みが成功につながらなかったのか、その背景と今後についてお話をうかがった。

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マーケティング部 デジタルマーケティンググループ=(右から)グループマネージャー 中村 和弥氏、佐伯 直哉氏

リリース時から続くクリエイティブ重視のマーケティング戦略

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──FiNCでどのような体制で動画マーケティングを実施されていたのでしょうか。

中村 和弥氏(以下、中村) 2017年3月の「FiNC」アプリの正式ローンチ当時から動画クリエイティブには力を入れており、人材と資金のリソースをしっかり投じていました。インハウスでクリエイティブチームを抱えており、動画専属のメンバーもいます。これは弊社代表がサービスやマーケティングにおけるクリエイティブの重要性を理解していたからです。

基本的にアプリの広告用動画が中心でしたが、ウェブサイトやアプリ内コンテンツで使用する動画も、ほぼすべてこのクリエイティブチームが制作していました。

──インハウスのクリエイティブチームはどのようなフローで動画を制作しているのでしょうか。

中村 ロジックと創造性、両方を大事にしながらクリエイティブの制作を進めています。広告用の動画であれば、まずはデイリーで媒体別に数字を追って、伸びているクリエイティブと効果が悪いクリエイティブを分析します。そこから好調クリエイティブに共通する要素を抽出し、それをフレームワーク化することで「本質」を見出してきました。

そして伝える「本質」はブラさずに表現方法を工夫し、世の中の勝ちパターンも参考にしながらクリエイティブチームと一緒に動画を作っていきました。弊社のブランドアンバサダーを起用し、フィットネスシーンや「FiNC」アプリを使った生活シーンを社内外のスタジオで撮影していました。

──これまで制作されてきたなかで、効果の高い動画はどのような訴求軸のものが多かったのでしょうか。

中村 FiNCのキャッチコピーでもある「カラダのすべてを、ひとつのアプリで」管理できるという訴求軸の動画が特に効果が良かったです。また差別化要素として、アプリ内の人工知能がダイエットをサポートするという訴求軸もお客様の反応がよかったですね。

ローンチ時から長く動画のPDCAを回していたこともあり、「FiNCのこの機能を、こういった切り口で表現すれば、お客様に響く」という訴求軸はある程度掴めていました。

伝える本質を残したまま、表現の幅を増やすことが課題

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──貴社が認識されていた動画マーケティングの課題について教えてください。

中村 動画クリエイティブのバリエーションが少なかったことです。Web広告のクリエイティブ、特に動画は消耗が激しく、新たに配信してもすぐに効果が無くなります。つまり、ずっと同じ動画クリエイティブでユーザーを獲得し続けることは不可能でした。

世の中にはAIを活用して動画を制作するサービスも登場してきていますが、まだまだ動画制作はプランナーが考え抜いて、クリエイターが丹精込めてつくるという「人のちから」が必要な仕事です。反面、制作できる本数や種類には限りがあります。

有効な訴求軸や勝ちパターンは見えていたのですが、ユーザーに毎回新しい切り口で訴求できるほど、表現方法のストックがありませんでした。新しい表現を常に探し続けることは非常に大変だったので、幅広いクライアントの制作実績があるKaizen Adさんに、課題解決をご依頼することになりました。

──他社やツールなどは検討されたのでしょうか。

中村 動画の制作会社や制作ツール、クラウドソーシングのサービスは世の中にたくさんあります。しかし今回は、単純に動画制作を外注したかったのではなく、クリエイティブの企画から制作、そして効果を分析し次のクリエイティブをつくるという、PDCAを回すところまでお願いしたかった。そうなると、選択肢はKaizen Adさんだけでした。

動画のアイデア数は多かったものの、目標には届かず

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──具体的なお取り組みについて教えて下さい。

佐伯 直哉氏(以下、佐伯) お取り組みは2018年の12月にスタートしました。4ヶ月間で、約100本の動画を制作していただき、クリエイティブの企画から効果検証といったコンサルティングも今回お願いしました。

──お取り組みではどのような動画を制作されたのでしょうか。

佐伯 弊社での勝ちパターンの訴求軸をベースに、他社や他業界の成功事例を参考にしながら、FiNCに合った新しい訴求軸や表現方法に挑戦しました。

たとえば、動画マーケティングが盛んなマッチングアプリ業界や転職サービスで効果がでている広告事例も参考にしていただきました。表現手法も、これまで思いつかなかったような映像をご提案いただきました。

──お取り組みへの評価について教えてください。

佐伯 こちらから聞きたいことに対して、すぐにSlackでレスポンスいただけました。また、他業界の成功事例もかなりの量をリサーチしていただき、そこから30パターンほどの動画の事例をピックアップして提案いただけたことはかなり嬉しかったですね。こんなに事例があるんだと感動しました。しかし、実際にFiNCの動画マーケティングに活かせたのはそこから2〜3パターンだけでした。

──使えるか、使えないかの判断のポイントはどこにあったのでしょうか。

佐伯 「ユーザーにサービスのメリットが伝わるかどうか」、そして「そのメリットを伝えるために適した表現手法はなにか」という2点に僕らはこだわっていました。他の成功事例をFiNCに当てはめたとき、なかなかこの2点をクリアできませんでした。

中村 Kaizen Adさんの過去事例とFiNCのこれまでの実績から、成功するための「本質」を抜き出してもらいたかったのですが、実際の提案は「他社の成功事例をそのままFiNCに当てはめる」というパターンが多くなってしまいました。結局、そのフォーマットでは「FiNC」アプリのメリットを訴求しきれなかったため、広告も明確な成果がでませんでした。

佐伯 制作して頂いた動画は、インハウスで制作した動画よりもよい成績がでませんでした。動画マーケティングで私たちが追っていた指標は主に、インストール数とCPI(インストール単価)、及び7日間継続率の3つです。今回は特にCPIの数字が目標に届きませんでした。過去のFiNC制作の動画に比べて、CPIが平均3〜4倍に上がってしまいました。

そのため、たとえ表現方法の幅が広がっても、広告効率が改善できない状況が続いてしまい、結果お取り組みを断念せざるを得なくなりました。

──お取り組みのミスマッチには、どのような背景があったのでしょうか。

中村 当時、FiNCのブランドとしての知名度がまだまだ上がっておらず、かつ「人工知能がダイエットをサポートする」という世の中にない新しい差別化がポイントであったため、他社の成功事例が単純には当てはまりませんでした。

マーケティングのコンセプト自体も発見していく必要があり、私たちとしても難易度が高かった案件という認識で、それが一歩及ばずという結果の背景だったと考えています。

“ただの制作会社”ではなく、一緒にマーケティングに取り組むパートナーを

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──現在はどのように動画の制作をされているのでしょうか。

中村 サービスのフェーズが変わり、以前よりもブランディングを重要視するようになったため、さらに厳しい基準で動画クリエイティブをインハウス制作しています。また今後アプリをマス的に広げいていくために、芸能人を起用したTVCMやインフルエンサー施策を行っていく予定です。そのためにも、動画演出者のイメージに合った、クオリティの高いクリエイティブが必要になってきます。

佐伯 依然として、動画のバリエーションには課題があります。社内でも毎日アイディアを投げあったり、これまでとは違う形で外部のリソースを活用していくことも検討しています。

外部パートナーの方には、単に動画の新しいアイディアをご提案していただくだけでなく、抽象化した「本質」を考えた上でFiNCに適用するにはどうするのが最適かまで一緒に考えご提案いただけるような外部パートナーを求めています。

中村 当時僕らは、Kaizen Platformさんを“ただの制作会社”という立ち位置で一切お願いしておりませんでした。より高い成果を上げるために、二人三脚で成果を出していきたいと思ってました。

そして今回のお取り組みから、「とりあえず好調事例を当てはめてみる」「ちょっと違うパターンで本数を沢山作ってみる」のではなく、外部パートナーの方であっても、FiNCのマーケティングの考え方を理解していただいたうえで、クリエイティブを試行錯誤することが大事だなと、僕らも気付きました。

ダイレクトマーケティングという視点から弊社にはない知見をいただいたり、広い視点でのソリューションをご提案いただいたり、本当の意味で一緒に動画マーケティングを成功させるパートナーであれば、嬉しいですね。

──ありがとうございました。

※1 日本国内App Store/Google Play「ヘルスケア&フィットネス」カテゴリにおける1年間のダウンロード数(2017年11月〜2018年10月)の合算です。/出典:App Annieのデータに基づく当社調べ

※2 ダウンロード数/ダイエット目的の食事管理、運動促進、体調管理いずれかの機能を有するアプリにおいて日本国内 App Store/Google Play 3ヶ月間(2019年1月〜2019年3月)の合算です/出典:App Annie

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<取材・文・写真= 大木一真>

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