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オフライン・オンラインの“ハイブリッド型展示会”は根付くのか? 『アドタイ・デイズ2020秋』が示した動画の可能性

2020年9月開催の宣伝会議によるマーケティングイベント『アドタイ・デイズ 秋』は、例年、大勢の参加者が来場する大規模なイベントとして注目を集めています。

しかし、コロナ禍の今年は多くの来場者を集めることはできません。そこで新たにオフライン・オンラインのハイブリッド型展示会という試みが行われました。

今回は、そんな新たな試みとして関心が高まる『アドタイ・デイズ 秋』の概要と、その際配信したKaizen Platformのウェビナーの内容を特別に公開。そして「オフライン・オンラインハイブリッド型展示会」の可能性や、その中で動画広告の果たす役割についてお伝えします。

2日間のリアルイベントを実施後、オンライン展示会でフォロー

『アドタイ・デイズ 秋』は、オフラインイベントとオンラインの両方が開催されたこれまでにない展示会です。まず9月3日(木)、4日(金)に、リアルな会場で展示会が行われ、その後9月10日(木)にオンライン展示会『アドタイ・デイズ オンラインEXPO』が実施されました。

リアルイベントでは感染症対策を行うため、様々な対策を実施。入場時はサーモグラフィーによる体温測定を行い、セミナー受付はRFIDタグを用いた非接触で実施、出展者は全員フェイスシールドを身に着けるなど万全な対策がなされていました。

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(出典:https://www.advertimes-days.jp/measures/?_ga=2.166685118.1628420501.1603917140-1504236253.1603241603

また、展示ブースでは出席票にプリントされたQRコードをバーコードリーダーで読み取るだけで来場者情報の取得を可能に。商談スペースにアクリル板を設置したり、稼働人員を削減したりするケースも多数見受けられました。

2020年爆速で成果をあげるための動画クリエイティブ

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Kaizen Platformはこのイベントで「実例解説! 2020年爆速で成果をあげるための動画クリエイティブとは」というセミナーを実施。コロナ禍で顧客とのリアル接点が制限される中、動画は企業の売り上げ回復を左右するもはや重要な「販売チャネル」の一つとなっているという内容です。

東南アジアの責任者を務めるKaizen Ad APAC Growth Managerの藤原玄より、「コロナ禍で動画をハックする」実例を多数ご紹介させていただきました。

まず、昨今の「動画のトレンド」として挙げられるのは、動画視聴数の急速な増加です。2019年のYouTubeの広告売り上げは前年比36%増の約150億ドル(約1兆6,000億円)を記録し、2021年までにモバイルデータトラフィックの80%が動画になると言われています。

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その中で、YouTubeやTikTok、Netflixなど動画配信プラットフォームが拡大し、5Gなどの高速回線が整備。今後より一層、多くの動画が制作されるでしょう。

次に、重要なのが「動画クリエイティブの必要性」です。広告配信を行う上で、プレイスメント、ターゲティング、クリエイティブを押さえることです。ところがこれからの時代、コンテンツの配信先は膨大なデータを持つ巨大メディアによる寡占化が進み、cookie制限によりリターゲティング広告の制約も生まれます。

するとこれからの時代、デジタル広告を差別化するためには、高いクリエイティビティが必要。実際、Kaizen Platformの例では効果の高いクリエイティブと、効果の低いクリエイティブの間で11倍もの差が生まれています。

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これまで何時間もかけてテレビCMの延長で動画を制作していた時代と異なり、低コスト・短納期で様々な媒体・フォーマットに合わせて最適化した動画を制作することが重要になってきています。

動画は爆発的な量の情報を伝えられる点も魅力です。15秒尺の動画の中に、静止画450枚分の情報が入ると言われています。その結果、静止画と比べたときの広告認知は1.7倍、広告理解は1.8倍さらに商品の利用意欲は7倍にも上ります。

Kaizen Platformの動画制作では、「構成」「コピー」「表現」「音」の4要素を重視。数々の企業の動画制作を成功させています。

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例えば「楽天O-net」の例では、同社のバナー広告やランディングページに掲載されている画像素材を基に、30秒の動画を制作したものです。ここではユーザーが顕在的・潜在的に悩んでいることについて「問題定義」し、次にいきなり「解決定義」を提案する。次にプロダクトの「機能説明」をして、最後に「Call to Action」をお伝えします。このような動画構成は「説明型」と呼びます。

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あるいは「LOCOND」の場合は、動画の冒頭でいきなりプロダクトを紹介し、プロダクトの優位性と機能を伝えます。自宅で手軽に試着して気軽に返品できること、サイズ交換は0円であることを打ち出し、最後に「Call to Action」を伝えています。このように、冒頭でユーザーにインパクトを与える動画の構成を「プロダクトデモ型」と言います。

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そして家電量販店の「ノジマ」の場合は、動画の間中、繰り返し売れ筋商品とその価格帯を押し出すスタイルをとっています。短い動画の中で、オファー、セールス、プロモーションを繰り返す動画の構成を「ストレートオファー型」と言います。ここから検索へ誘導することが可能です。

また、通販サイトの動画では、トレンドの着こなしを全身見せたり、「ストーリーズ」など最近増えつつある「縦長」動画のニーズに合わせ、上にスワイプできる仕立にしています。

他にも、画面を上下二分割したり、商品を早回しで見せていく「ルーレット」やクイズ形式、アンケートスタイル、絵文字の多様など、様々な表現方法があります。Webサイト内でもスクロール型やストーリーズ型など多様な工夫をすることが可能です。

Withコロナによって、動画のニーズが高まり、ソリューションの幅は広まっていくばかりです。

オンライン展示ブースで気になる商材を「ウィンドウショッピング」

リアルイベントでこうしたセミナーを行った後、Kaizen Platformは1週間後の9月10日(木)にオンライン展示会に参加しました。

オンライン展示会では、ウェブ上の特設ページ上に出展企業が一覧で掲載され、各企業ページへ飛ぶと、そこからリアルイベントの際のセミナー動画や、ダウンロード資料(3点まで)、商品動画(各3分×3本まで)設置することができるような仕組みになっています。また、個別相談用Zoomが設定されているため、来場者はイベント時間中いつでも担当者より直接商品説明を受けたり、商談を受けたりすることが可能です。

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(出典:https://www.advertimes-days.jp/

オンライン展示会に来場した全リードをリストで納品してもらえるのも魅力の一つです。

これからより一層増えるであろうオンライン展示会。どのような点に気をつけてマーケティング活動に生かせば良いでしょうか。Kaizen Platformマーケティング担当 肥田は以下のようにイベントを振り返ります。

肥田「オンラインイベントのメリットは、オンサイトで来訪するのが難しい遠方のお客様やコロナ禍で参加を躊躇するお客様が、気軽に参加できることだと思います。その結果、普段お会いできないような企業とのコンタクトができたのではないかと思っています。

その一方で、出展企業も来場者も、オンライン展示会をどのように活用すればいいのか模索中です。興味関心層のさらに手前の段階の方も多く、来場者の購買フェーズをいかに引き上げるかはこれからの課題だと思います。

今回のようなオフライン・オンラインハイブリッド型の展示会の場合、オフラインイベントではリアルで登壇し、来場者に印象づけることが重要だと感じました。もちろん未だコロナ禍ですので、各社様々な判断があるとは思いますが、オフラインイベントの場で来場者と接点を持つことで、その場で質問に答えることもできますし、直接のお声がけにより、アンケート回収率を上げることもできます。興味関心層、比較検討層のリードが集まりやすいと感じました。とはいえ、最適なコンテンツ、コンテンツの出し方、当日のフォロー体制は検討の余地があるでしょう」

オンライン展示会での上映に適した動画のつくり方は?

さらに、短時間で来場者の興味をひくオンライン展示会での上映に適した動画のつくり方には、どのような方法があるか、今回登壇したKaizen Platform藤原は以下のように語りました。

藤原「オンライン展示会で上映する動画の場合、3~5分とほんの数分で来場者の気持ちをつかまなければなりません。ナレーションによる説明動画より、マーケターやセールスなどが話者となり、来場者の心に響くアプローチをした方がいいと感じました。

その際重要なのは、動画の構成です。高めのテンションでスタートし、冒頭にクライマックスを置いて動画全体のアテンション上げ、その状態を継続させることが重要です。それから最初に動画を見るために要する時間を明言する、ビジュアルを豊富に用意する、クイズ形式にするなど、来場者に自分ごととして考えてもらう仕掛けをつくるようにしている。

話す項目をコンパクトにまとめておく、短い時間の中でも、「市場環境の整理→課題→解決策→サービス内容→導入事例→料金」という流れで凝縮して伝えることが重要だと感じました。

5分・サービス説明の動画例。マーケターやセールス担当が話者になりYouTuberのようにテンポよくサービスの魅力を語ることで視聴者の興味をひく。※本イベントの講演内容とは異なります

動画の使い方、伝え方次第で、顧客の反応は大きく変わるのではないかと思います」

急速な動画の普及で、構成方法やクリエイティブ、視聴者の心のつかみ方にもバリエーションが多数出てきています。短時間で来場者やユーザーの興味関心を高めることのできる動画ソリューションに、これからも注目が集まるでしょう。

(文:石川香苗子、編集:Kaizen Platform公式note)

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