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物流業界の課題解決に向けたDX人材育成をKaizenが支援。主体的に考えて行動する意識が醸成されていった90日間のプロジェクトの裏側

Kaizen Platformでは顧客体験DXを掲げ、クライアント企業のWebサイト改善や動画広告の効果改善などに取り組む他、DXコンサルティングとしてDX人材の育成や組織開発も支援しております。

そして今回支援させていただいたのが、ロジスティクス事業を中核に展開するセンコーグループホールディングス株式会社です。中核会社であるセンコー株式会社は2020年にDX推進部が発足し、デジタルを用いた事業変革に取り組む中、DXに対する知見の必要性が課題としてあり、Kaizen Platformにご相談いただきました。

そこでKaizen Platformではセンコーグループホールディングス㈱内の社内大学であるセンコーユニバーシティとセンコー㈱DX推進部とともに、DX人材育成のためのワークショップおよび学びを業務に活かすための90日間の実践プログラムの企画・実行を支援させていただきました。

今回はセンコーグループホールディングス㈱センコーユニバーシティ部長 南里様、センコー㈱DX推進部 部長 吉田様、また本取り組みを担当したKaizen Platform青江を交え、実践プログラムはどう進んでいったのか、また取り組みによる社内の変化などを振り返ります。


学びを業務に活かすために。身近な課題解決をテーマに、小さくても成功体験を積むことができるようプランニングを行った

Kaizen青江:以前にDX人材育成のためのワークショップの企画・実行を支援させていただきました。しかし、一般論としてワークショップは「学びました」「勉強になりました」だけで終わってしまい、業務の時間を割いてまでして研修を行っているのに業務に活かされないというケースが多くあります。

そこで今回はワークショップでの学びを活かすべく、90日間の実践プログラムをご支援させていただきましたが、あらためてKaizen Platformにどういったことを期待していましたか?

Kaizen Platform 青江

南里:やはり自社のメンバーのみで対話を繰り返していても、いままでの延長線上のアイデアが大半でした。そのため、同じ目的に向かいながらも、自社メンバーとは違う考えを持った良質な第三者の存在が必要であり、そうした新たな視点をKaizen Platformに期待していました。

そして新たな視点を取り込むことで、参加メンバーのマインドセットが「失敗してもいいから、やってみよう」といったものへと変わり、身近な課題解決を通じて成功体験を積み上げていってほしいと思っていました。

吉田:これまでの自社で実施した研修を振り返っても、やはり私たちの経験や学んだことからしか教えるしかできませんでした。さらに、研修の参加メンバーも上司が喜ぶようなアウトプットを出しがちです。

しかし変化が激しく、マーケットニーズも変わり続ける昨今において、自分たちの常識の範囲内で考えていては、ユーザーに対して本当に良いアウトプットは生まれません。そのため、OJTからの脱却が必要であると考えていました。

また、前回のKaizen Platformのワークショップでは参加メンバーの個々の意識の変革が見られたため、今回の実践プログラムにおいても、90日間でどういった変化が生まれるのだろうかと楽しみにしていました。

Kaizen青江:実践編をプランニングしていくにあたり、みなさんが自走してDXに取り組めるよう、また成功体験を積んでもらえるよう、取り組むテーマは日々の業務で抱えている課題やいまの事業で注力すべきだと感じている点など、参加メンバーのみなさんが抱える課題感から各々で設定してもらうようにしました。

また90日間という短い期間で最初の成果を出すために、他部署を巻き込むのではなく自分たちで意思決定ができる範囲でテーマ設定してもらうことも意識しました。

小さな取り組みであったとしても、自らアクションを起こし、変化が起きたという経験がモチベーションになりますし、それを見たまわりの社員からも「一緒に取り組みたい」と仲間を増やしていくことができるからです。
実際に各々が設定されたテーマをご覧になって、いかがでしたか?

吉田:率直に「すごい」と感じました。というのも、これまでも若手の事業プランやアイデアの提案を受けることはあったのですが、正直なところ一定のレベルに達してないものも多くありました。しかし、Kaizen Platformのワークショップを通じて課題の発見や解決のレベルが高まったからこそ、非常に的確なテーマ設定で、「こんなことを考えているのか」と驚きでしたね。

従来なら私が先輩目線で物事を教える立場でしたが、今回はむしろ彼らの問題提起から学び直すことも多く、あらためて私自身どうあるべきかと考えさせられました。


通常業務と併行しながらの90日間。学びだけで終わらず、事業に影響を与えられるような取り組みも生まれている

Kaizen青江:プログラム自体は隔週で振り返りの場を設け、立てた計画に対してできたこと、できなかったこと、次にトライしたいことの3つを整理し、次の2週間の計画をアップデートするというやり方でした。

参加メンバーのみなさんは通常業務もありながらの進行であったため、とても大変だったかと思いますが、南里さんや吉田さんから現場へのフォローがあったからこそ、みなさん90日間走り抜くことができたと思っています。

特に20代の若手メンバーが中心となって取り組むケースもあった中、やはり若手にとっては上司と調整したりすることが難しかったりもします。そうした中、事務局が間に立ってくれていたからこそ、若手であっても諦めずに最後まで取り組むことができたのだと感じました。

南里:やはり通常業務と併行して行うのは大変ですし、メンバーの中には自ら計画したことをやれていないということもありました。

しかし、そこで「できていないじゃないか」と問い詰めることはせず、むしろどうすれば “できなかったこと” を “できる” に変えるか、一緒に解決するように意識しました。
私自身、若手時代に業務を抱えながら学ぶプログラムに参加した過去があり、学びを得たことは大変有難い機会と思いながら、実践する機会が持てず非常に残念な思いをした経験をしました。

そのため、少しでも受講生の学びが実践され、小さくとも実現に近づくように、またもし実現できなかったとしても日々の業務に繋がるようなアウトプットが生まれるよう、運営側としてできることはサポートしたいと思っていました。

人材教育部 センコーユニバーシティ 部長 南里 健太郎 氏

Kaizen青江:問い詰めても仕方がないですもんね。本人としては前向きに会社のことを考えて、変革を起こそうとしているのに、そこを問い詰められたらモチベーションが下がるだけ。それであれば、事務局も一緒になってどうすれば良いかと問題解決に取り組むほうが建設的です。
そのように、自分たちのアイデアを実現するためにまわりが協力してくれるということ自体、小さな成功体験として意味があると思います。

はじめはモチベーションがそこまで高くなかった参加メンバーもいましたが、途中から主体性を持って取り組むようになり、実践プログラムが終了した後も、自ら考えて取り組むようになっていったり、参加メンバーが取り組んだテーマの中には、事業にインパクトを与えられるほど大きな取り組みになっているものもあったりと、着実に学びを業務で活かす動きが見られているのは、本当に素晴らしく思います。

トップダウンでのDX推進は難しい。現場が自分ゴト化して主体的に取り組むことがDX成功の鍵である

Kaizen青江:今回御社の実践プログラムを支援させていただき、あらためて感じたのが「答えは現場にある」ということでした。どれだけトップダウンで「DXを推進しろ」と指示したところで、しっかりと現場への落とし込みができていなければ、現場からすると「具体的に何をすればいいのか」と疑問しか生まれません。

しかし、現場のメンバーはいま何が課題で、どういったことが求められているのか、お客様は何を求めているのか、そして今後どうなっていくべきなのかといったことは、すべて現場に答えがあり、だからこそ現場のメンバーが自分ゴト化して主体的に取り組める環境を用意することが、DXの成功の鍵なのだとあらためて感じさせられました。

吉田:そもそもで日常業務の中で、自分の考えたことを実際に行動に移して実現するという機会はそう多くありません。物流会社という特性もありますが、言われたことを正しくやることが100点という働き方がこれまでは良しとされてきました。

しかし、社会が大きく変化し続けるいま、言われたことをただやり続けるだけではダメなんだと参加メンバー自らが気づけたことは意義があることですし、実際に取り組みを通じてメンバーらは「自分たちも意見を発信していいんだ」という雰囲気が生まれていきました。

中には、「いろいろと考えはあるけれども、自分のやりたいことは実現できない」と諦めていたメンバーもいたのですが、彼は今回の取り組みを通じて絶対に実現させてやるんだと前向きな考え方に変化していきました。
そうしたメンバーが増えていくことがセンコーにとっては大きな変革だと感じています。

事業政策推進本部 DX推進部 部長 吉田 聡 氏

Kaizen青江:あらためて今回のDX人材育成の実践プログラムを振り返ってみて、いかがですか?

吉田:一般的にDXと言うと、デジタル化だとかAIを使ってどうするかといった話がよく出てくるため、近未来的なイメージが社内ではありました。
しかし、 デジタルはあくまで手段であり、その先に新しい価値を生み出していくことや人間の「こうだったらいいのにな」という想いを実現できる状態にすることがDXであると考えてます。価値づくりというのはロボットがするのではなく、人間がするものであり、そういったDXの定義をしっかりと捉えることができたことも大きな成果だと感じています。

南里:吉田からもあった通り、DXはデジタル的な、無機質で冷たいイメージがありましたが、Kaizen Platformとの取り組みを通じて、DXを進めると逆に自分たちの目線は「ヒト」に向かうんだなと感じました。

お客様がこんなことに困っているだとか、業界がこんな課題を抱えていているといった、それぞれの「なんとかしたい」という気持ちを想像したり、時にはインタビューなどを通じて実際に聞いてみたりと、目線が「ヒト」に向いていくということは非常に重要な気づきでした。

そして学んで終わりでは意味がありませんから、単発の取り組みで終わってしまわないよう、これからも継続的にDX実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

Kaizen青江:学ぶことが目的ではなく、事業を成長させていくことが目的。だからこそ、小さな成功で終わらせるのではなく、その小さな成功をいかに大きくしていくかが大切であり、そのためにも継続的に取り組みを進めていけるかが求められます。

ワークショップ、そして実践プログラムを通じて、主体的に変革に向けて動くメンバーが増えていますが、今後そうした動きが会社の中で機能するようになったときが本当のDXなのだと思っています。御社が今後どう成長していくのか、非常に楽しみです。
本日はありがとうございました!