「『うちは他社とは違うんです』、実は共通点があるんです」 デジタル時代のマーケティング戦略と人材育成のポイント 前編
「世界をKaizenする」をミッションに事業を展開しているKaizen Platformがお届けする「世界をKaizenしている人」に注目した本連載。
2019年2月27日、東京・市ヶ谷にて「データ活用を軸にした戦略立案とデジタル人材育成」と題したセミナーが開催されました。当日は、企業の事業企画・マーケティング担当者など、定員を超える参加がありました。
セミナーには、デジタル先端企業と共にマーケティング活動を推進してきた株式会社ビービットと株式会社Kaizen Platformとのキーマンが登壇。どのようにデジタルマーケティングを進めていくか、そのための方向性や人材育成について、具体的な企業活動やデータに基づいて語りました。
これからのデジタルマーケティング戦略の作り方
デジタル時代のマーケティングは刻々と進化を遂げています。
数年前までは、ネット広告やソーシャルメディアの活用が中心。現在ではスマホの接触時間はさらに増え、ネット動画も爆発的に普及するなど、デジタルメディアの使われかたが様変わりしています。それに伴い、マーケティングも新たなチャレンジが求められています。
どのような分野、取り組みにチャレンジしていけばいいのか……
最初のセッションでは、株式会社Kaizen PlatformのCo-founder & CEOである須藤憲司が「EC、サブスク、金融業界に学ぶデジタル戦略最前線」と題して、チャレンジの足がかりを提示しました。
「多くの経営者の話を聞くと、『うちの会社や業界は特殊でね。他とはずいぶん違っているんですよ』と、口を揃えます。確かに、KPIとKGIはビジネスモデルに依存して各社違っている。しかし、2万件にもおよぶ案件に取り組む中で、意外と共通点も多いことが分かりました」(須藤)
たとえば、ファッションやコスメ・旅行といったECサイトによるビジネス。多くは、お客様を新規とリピートに分けて捉えて、新規顧客の獲得を重視しています。しかし、実際のデータではどの業界であっても、「3回目までリピートすると残存率は極めて高くなる」と須藤は語りました。
このような共通点は、月額利用料や年会費をもらうサブスクリプション、証券・銀行のように口座を利用する金融といったビジネスモデルにもそれぞれ存在していると言います。「つまり、どの分野、業界においても最初から3回目まで利用していただく施策を考えることは重要、共通しているポイントなんです」と須藤は続けます。
「私たちは、新規獲得・継続利用・解約防止といった各フェーズを、デジタルマーケティングでどう加速するかが、重要になると考えています。たとえば、ECサイトであれば、新規獲得と3回目の定着までを一体で捉えます。サブスクリプションモデルであれば、新規獲得の直後が一番ホットな状態ですから、その瞬間からどうやってアップグレードさせるかが重要になる。金融サービスでは、濃密なパーソナライズ情報を獲得できるので、ユーザーにあったサービスを提供することで、クロスセル率が大きく変化します」(須藤)
一方で、デジタルマーケティングを取り巻く環境の変化から、共通の論点が浮かび上がってくるといいます。
これからのデジタルマーケティングを考える三つの論点
「1つ目は、ID戦略です。大企業や大きな企業グループでは、サービスごとに担当、管理している部署が異なり紐付いてないことが少なくありません。オンラインとオフラインのお客様の行動も結びついていませんでした。ID戦略では、ログインして継続的に利用してもらうことが重要になります。これには、“同じユーザーである”ことがわかれば充分、個人情報は不要です。国内でQR決済が普及してキャッシュレスが進むと、オンラインとオフラインの連携はさらに加速するでしょう」(須藤)
そして、須藤が挙げた2つ目は、「動画視聴の増大」。
2021年には、モバイルトラフィックの78%が動画になると言われています。一方で、デジタルマーケティングで動画をどう活用すれば良いのか悩むかたも少なくありません。「現在のモバイル動画は作品というより、効果的なコミュニケーションのためのフォーマットである」と須藤は強調。
「たとえば、バナー広告を動画にするだけで、コンバージョンが3倍になった例がある」と須藤は事例を挙げました。手の込んだ動画ではなく、LPや紙のチラシを動画化しても大きな成果を出すことができる。「Kaizen Plastformの高速動画制作サービス『Kaizen Ad』では、スーパーのチラシの入稿データでも48時間以内には動画広告として利用することができます」と須藤は語り、情報を素早く提供し、リアクションを見て次の一手を考えて行くことが重要であると改めて強調しました。
動画事例はこちら
「3つ目の論点は、パーソナライズです。従来のデジタルマーケティングは、全てのお客様に共通のメッセージを届ける総力決戦型でした。しかし、今後はすべてのキーワードで無数の一騎打ちを戦う超局所戦が増えていくでしょう。実際、お客様一人ひとりのニーズに合わせていくことで、お客様のエンゲージは高まっていきます」(須藤)
たとえば、「申し込みから利用開始」という時間軸に注目した場合、ユーザーごとにフィットする小さなストーリーをコツコツ改善していくことが重要になります。変動性・不確実性・複雑で曖昧な時代には、情勢をしっかりと観察して適応することが不可欠です。
「そのためには、データをただ集めるだけでなく、自分たちで加工・分析して知恵にまで高めることが重要です」と力強く語り、須藤は次の登壇者、ビービット宮坂さんにバトンを渡しました。
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