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1000万円のかっこいい動画より、100万円の「目的が伝わる」動画。グロースハッカーが考えるWeb広告動画制作の秘訣

クライアント企業の事業最大化を実現する、Kaizen Platformにおいて欠かせない存在が、デザインとエンジニアリングのスキルを備えた「グロースハッカー」の方々。

企業やサービスのWebサイトなどのデザインの改善策を提案し、ユーザーのクリック数の増加や売り上げ向上につなげることで、事業をグロースさせる役割を担います。

今回お話をうかがうのは、グロースハッカーの北古賀紀行さんです。

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20年以上デジタルコンテンツ制作に注力してきた北古賀さんは、2014年10月にKaizenのグロースハッカーとして登録以来、サイトのUI改善と動画制作、ふたつの領域で年間200件を超える案件に携わってきました。

映像制作の講師としても活躍しており、Kaizen内では信頼のおける存在として、福岡在住のグロースハッカーたちからは「先生」の愛称で親しまれています。そんな北古賀さんに、サイト改善と動画制作の共通点やWeb広告動画制作の極意などについてうかがいました。

《聞き手・TAIZO(Kaizen Platform)》

「少しの工夫でユーザーの動きが変わる」グロースハッカーの仕事の魅力

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──グロースハッカーになるまでの経歴を教えてください。

北古賀紀行さん(以下、北古賀) 97年からフリーランスでデジタルコンテンツ制作をするようになり、デザイン、コーディング、サイト設計、映像制作などできる仕事は当時からなんでも引き受けていました。

09年にフリーランス仲間とWebと映像制作の会社を立ち上げたんですが、5年ほど前、会社のメンバーが再び独立しまして。弊社はわたし一人になって業務が減ってしまい、この先どうしようかと不安になっていたときにタイミングよく福岡のエージェンシーからKaizenのグロースハッカーの仕事を紹介していただいたんです。

──最初にグロースハッカーの仕事を紹介されたときはどんな印象でしたか?

北古賀 「グロースハッカー」という言葉はその前から知っていたんですが、制作をしている自分とは遠い仕事だと思っていました。どちらかと言うと、コンサルティングに近いような印象で。

でもせっかくだからちょっとやってみるかと始めたら、思いのほか自分のキャリアが活かせてうまく結果につながったので、それからはご存知の通りですね。

──現在まで継続的に携わってくださってますよね。始めた当初の手応えはいかがでしたか? 

北古賀 最初は部分的なWebサイトのUI改善だけだったので、正直「こんな感じでいいのかな?」と半信半疑でしたね。でもそれでABテストの結果、CVが上がると「なんだこれは!?」と。少しの工夫でサイト内のユーザーの動きが変わって、数字に差が出るのでおもしろいなと思いました。

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──北古賀さんは制作のキャリアが長かったので、それまでの知見を活かせたのでは?

北古賀 たしかに、それまでもある程度ユーザーの動線をレイアウトに反映して、UI改善に近いような考え方を持って制作に取り組んでいたので、経験をそのまま落とし込むことができましたね。

ただ、当時のサイトってまだ今よりふた昔前くらいの作りだったので、逆に言えば改善のしがいがあったというか。ざっと見ただけで「ここは工夫の余地があるだろう」ってところがどのWebサイトにも結構ありました。だから見出しやボタンの位置をちょっと調整するだけですぐに結果が出てくれたんです。

ここ数年は、急速に企業サイトもクオリティーが上がって、ユーザー視点をしっかりと意識した作りに変わっていったので、なかなか当時のようにはいかないですね(笑)。

1000万円かけたアーティスティックな作品より、100万円で作った「目的が伝わる」動画

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──現在は「KaizenAd」での動画制作を進めていただいています。もともと北古賀さんのフィールドにあった動画制作ですが、サイト改善とはやはり考え方などに違いがありますか?

北古賀 「KaizenAd」も動画制作とはいえ、考え方はサイトの改善にとても近いと思います。だから純粋な映像畑の人におすすめしたい内容の仕事かといえば……うーん、ちょっと考えるところではあるんですね。

──それはなぜでしょう?

北古賀 「KaizenAd」で作る動画は15〜30秒のものが多いですが、僕の会社でも作っているような10〜15分のPVを収縮した構成かというと、全然違うんです。

出口が動画というだけであって、目的は映像の美しさというより、クライアントのビジネスの要点を理解して会員数やコンバージョン数の向上したり、サービス内容を認知してもらうことですよね。

だからひょっとしたらずっとバナー広告などを作っている人に動画制作の基礎を教えてから始めてもらった方が「KaizenAd」には向いているのかな。講座で生徒さんに動画制作を教えているのですが、はっきりともう『“Web制作者のための”動画制作講座』と冠をつけてやっています。

──実際、僕たち(KaizenAd)も「LPにバナーの代わりに動画を置きませんか?」という提案をすることがあるので、まさにそれとリンクする話なのかなと思いました。

北古賀 そうですね。ちょっと話はずれるかもしれないんですが、去年グロースハッカーの仕事とは別件で、撮影の依頼をいただいたんですよ。話を聞くと、1000万円をかけて映像を作ったものの、全部ボツにして撮影からやり直したい、と。

でもそのボツになったという1000万円の映像を観せていただいたら、ぶっ飛ぶくらいかっこいいんですよ。

──1000万円かけているだけあって?

北古賀 ええ、もう映像制作を志している人はみんなこんな作品を作りたいだろうなって思うほどのすばらしい出来でした。

ただ、クライアントさんにとっては理想とかけ離れていたようで、「この映像を観ても、何を伝えたいのかわからない」と言うんです。それはある人材募集が目的の映像だったんですが、結局、僕が10分の1の予算で撮り直したものが採用されました。Web広告用動画は作品と違って、クライアントが何を求めているかを考え、伝えたいものをちゃんと形にできないとダメだという、見本のような事例でしたね。

──「目的につながる表現を」というのは、この一年、北古賀さんがよくおっしゃっていましたね。

北古賀 講座でもいろんな場所で言っています。目をひくのは大事ですが、アーティスティックな表現を追求するとつい目的からずれてしまいがちなので。

Web広告動画に必要なメリハリは「観て」身につける

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──実際に今、北古賀さんの講座を受けて「KaizenAd」の動画制作をおこなっている方も数名いるという流れがあるなかで、 これから新たにグロースハッカーの仕事を始める方に何かアドバイスをいただけませんか?

北古賀 広告動画の場合、何も考えずにただ動きを追加していったら、さっき話したようにだらだら続いて結局何を言いたいのかわからない動画になってしまうので、詰めるところは詰めて、部分的に少し間をとって、時にはアクセントを……といったメリハリが大事ですよね。

でも制作経験者であっても、モーションをどうつけたらどう見えるのかが感覚的にわからず、苦戦する人って結構いるんですよ。たとえば、生徒さんが作った動画をチェックして、僕が「ちょっとここは動きが忙しすぎるんじゃない?」とか、逆に「少しモタついて見えるからもっとシュッと動かさないと!」と言っても、相手があんまりピンとこないことはよくあります。

じゃあどうしたらピンとくるようになるかというと、偏に日頃から「観る」しかないんです。

──いろんな動画の動きを?

北古賀 そうです、暇さえあれば、InstagramやTwitter、YouTubeなどネット上で流れている動画を観る。

平面をデザインするときの整列をさせたり余白を活かしたり、っていうのが実は動画の時間軸にも当てはまることなんですが、この感覚ってなかなか言葉や知識では伝えにくいところなんですよね。

──たくさん動画を観て、どこがイケてるイケてないという感想を自身の中にひたすら蓄積していくしかないんですね。ツールを触る技術とはまた違って。

北古賀 日頃、目にする動画の中からお手本をいかに集めるかだと思います。最近では、テレビCMも情報の詰め方がWeb広告用動画の作りに似たものがどんどん出てきていますから。

──ありがとうございます。ところで北古賀さんは、今年あと何人のクリエイターを育てて輩出してくれますか?

北古賀 (笑)。募集してどれくらい興味を持ってくれるかですね。とりあえず来週(取材時)は新たに3人の生徒さんが講座をスタートします。とても優秀な生徒さんだったので僕も期待しています。

──楽しみです。今後ともよろしくお願いいたします!

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