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パーソル×DNP「小さなチームの変革を同時多発させること」がDX健闘の秘訣(「DX Drive2020」より)

こんにちは。Kaizen Platform広報の大渕です。

とうとう明日に迫った『DX Drive2021』。既に1200名近いお申込をいただいております。
今回は昨年開催されたDX Drive2020内にて『商品と販促のDX(デジタルトランスフォーメーション)』というテーマで開催されたセッションの様子をご紹介します。

『DX Drive2021』の詳細はこちら

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2020年2月7日。KaizenPlatformは、DXについて知見を深めていただくイベント『DX Drive 2020』を渋谷ストリームで開催しました。

その中のセッション『商品と販促のDX(デジタル・トランスフォーメーション)』では、商品・サービスの売り上げ改善や、販促におけるDX事例についてディスカッションしました。パーソルキャリア・髙橋遼太郎さんと大日本印刷株式会社・嶋岡立行さんをお招きし、どのようにDXを成し遂げたかをお話いただきました。Kaizen Platformの須藤憲司も交え、話は新しいテクノロジーが登場したときの組織変革にまで及びました。

求人広告「doda」の新商品としてDXが強力な武器に

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パーソルキャリア株式会社「doda」商品企画部 髙橋遼太郎さん

パーソルキャリアは人材紹介や求人広告を展開する総合人材ビジネス企業です。中でも、転職サービス『doda(デューダ)』は、知名度の高い老舗求人メディア。そもそもデジタルの知見も豊富な同社がいかにDXを取り入れ、『doda』をドライブさせたのでしょうか。

昨今、求人市場は空前の売り手市場。活況を増し、多くのプレイヤーが乱立しています。それに加えて「Wantedly」や「note」など企業が自ら発信できる媒体も増えてきました。そこで同社ではもう一歩踏み込んだ訴求がしたいと、2019年12月にKaizenPlatformと「doda プライム」という新商品を開発。求人広告を動画として編集し、多くの人に見てもらおうという取り組みを行っています。

「私たちパーソルキャリアの営業やクリエイターがお客さまに取材をして、その後PR記事を制作。写真やテキストなどの素材をKaizen Platformにお渡しして、2〜3日ほどで30秒の動画にしてもらっています」(髙橋さん)

すると、動画を掲載した求人広告の応募率が劇的に上がったのだそうです。

「求人広告の応募率が、34%もアップしました。特に34歳以下の動画再生数は72%。若年層へアプローチするために、動画が効果的であるということがわかりました。また、営業、エンジニア、事務などあらゆる職種で50%以上の応募率アップに成功した企業もありました。日々取り組んでいる様々な改善やアップデートの中でも飛び抜けて大きな成果を上げています」(髙橋さん)

こうした効果を、営業ツールに盛り込んで営業を展開したところ、2020年1月度の企業様からご期待頂いた求人件数が前年比140%になったそうです。

「日ごろからSNSなどで動画コンテンツを見慣れている若年層にとっては、動画の方が短時間で企業理解が進みやすいようです」(髙橋さん)

大日本印刷がはじめたプリントメディアにおけるDX

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大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 DXセンター プロモーション本部 第1プロモーション企画開発部 部長 嶋岡 立行さん

大日本印刷では、2010年代初頭からプリントメディアとデジタルメディアの融合をスタート。現在では様々なテクノロジーを組み合わせて、新規事業の開発に取り組んでいます。

中でも、プロモーション企画全般、webメディアサービスの提案、運用を担当する企画本部で、販促コミュニケーションに関わるDXを推進しているのが嶋岡さんです。

最近、大日本印刷がプロモーション領域で取り組んだ3つのDX事例があります。1つは「LINEチラシ メディアフォーマット」。LINEが提供するデジタルチラシサービスを営業する初の販売パートナーとなりました。ドラッグストアやスーパーマーケットに対し、既存のLINE公式アカウントと連携してチラシをLINEアプリ上で閲覧できるサービスの営業を手掛けるようになりました。

そしてもう1つは「DNP動画チラシ広告サービス」。紙のチラシ、カタログ、POPといったプリントメディアの入稿データをKaizen Platformに渡すと、48時間以内に動画化。デジタルサイネージやウェブ運用型広告、オウンドメディア、SNSオウンドページなどに配信します。

「2018年のリリース以降、取引社数は100社以上に及び、制作本数は300本数を超えました。ジオターゲティングやPOSデータのリフト値から拡大推計すれば、来店客数や購買データを割り出せます。効果測定がしやすいですし、その結果をもとに掲載商品をタイムリーに差し替えるなど、配信商品の最適化もできるようになりました」(嶋岡さん)

そして3つ目は、次世代型ポップアップショップ「boxta(ボクスタ)」の立ち上げです。

「boxta」は、2019年11月28日~12月25日まで渋谷スクランブルスクエアに出店されたショールーミング店舗です。様々なテクノロジーをプリンティングビジネスに活用してきたDNPが、店頭で取得したセンシングデータ、マーケティングデータを出展企業にフィードバックし、未来の新しい暮らしづくりへ貢献したいと企画した実験型店舗です。

自分だけのサプリメントをチョイスできるオーダーメイドサプリメントサーバーや、世界初の「スマホ美顔器」、漕げる折りたたみ電動原付ハイブリッドバイクなど、最先端のIoT商品を国内外から25点も集めました。

「センシング・AI技術開発を手掛けるLatona(ラトナ)社と協業して、店内に設置したカメラとマイクで来店客の動きや声を計測・数値化し、AIを用いてマーケティングデータとして活用を実証するという取り組みです」(嶋岡さん)

大日本印刷では、2020年中に「boxta」のようなセンシング・AI技術を用いた次世代型ショールーミング店舗の事業化を見込んでいるといいます。センシングやAI技術を効果的に用いることで、従来デジタルとは縁遠いと思われていた店頭のDXを実現させることができました。

DXにおいて「人と組織を変えるため」に必要なこととは?

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昨今、DXに取り組もうという機運は高まっていますが、実際にプロジェクトを進める上では様々な課題や壁に直面します。パーソルキャリアの髙橋さん、大日本印刷の嶋岡さんは、こうした現場での課題をどう乗り越えているのでしょうか。

ここからは、須藤とお2方の対談形式でお届けしたいと思います。

須藤 お2人がDXを推進する上で直面している“本当の課題”って、どんなことですか?

髙橋 せっかく新しいテクノロジーを用いた商品を開発しても、現場の営業担当者やお客様に「それは本当に効果があるのか」を腹落ちしてもらうのが難しいという点です。DX推進部門と現場との間に、どうしても距離感が生まれてしまいますね。

だから結局、新しいテクノロジーを使った商品の魅力を知ってもらうために、その内容を説明した大きなポスターを営業フロアに貼りに行く、みたいな超アナログな手法を行っています(苦笑)。

嶋岡 現場の営業担当者に新しいテクノロジーのメリットを伝えるのはなかなか難しいですよね。彼らにとって、営業活動の戦力になるし、売り上げに繋がるということを理解してもらうのが重要です。

須藤 本来、DX推進部門と営業部門は同じ社内の仲間だし、会社全体の業績アップのために働く味方同士のはずですよね。だけど、新しいテクノロジーを押し付けてくるDX部門VS 従来のやり方にこだわる営業部、みたいになぜか敵同士になってしまうことがある。

新しいことをやろうとしても、なかなか人と組織って変われないですよね。どうしたら変われますか?

嶋岡 当社の場合は規模が大きいこともあって、これまでの成功体験がいい意味でたくさんありますし、守るべきルールもたくさんあります。

もし私たちのような大規模の組織が変わろうとするなら、その成功体験の大事なエッセンスを抽出して、いまどのように活用すればいいかについて、目線と意識を合わせて説明すれば、上層部も現場も変わっていくんじゃないかと思うんです。

髙橋 僕の場合は、変えられないという前提に立つべきだと思っています。そもそも、各企業の業務フローや組織体制って既に既存事業に最適化され、つくられているので、そこを大きく壊しにいくとハレーションが生まれる。そこに寄り添いながら小さな変化を起こして少しずつ数を増やしていく事が重要だと思っています。

それともう一つ忘れないようにしているのは、今の時代は昔のようにトップダウンで人を動かすのは難しいということ。だから現場のキーマンを見つけて、草の根的に味方を増やしたり、現場に裁量や責任をたくさん与えて小さなチームをいくつも走らせるようなやり方をしています。

須藤 それって、かなり機動力の高いやり方ですよね。『OODA LOOP』(チェット・リチャーズ著/東洋経済新報社)という本があるのですが、ビジネスも戦さも大事なことは同じだというのです。過酷な戦いに勝つためにはスピーディーに変化することが重要で、その方向性を変え終わるまでの時間が短く、機動力の高い人が圧倒的に有利なんだそうです。

つまり、どれだけ短時間で変化できるかで、戦いに勝てるかどうかが決まるらしいんですね。

髙橋 まさに僕たちがやっているのはそういうことで、いくつものチームから「スモールトップダウン」が起こるようにしています。

嶋岡 大企業では成功体験を持っている人が、どうしても年長者に多いです。スタートアップの場合は、20~30代までの若手や現場レベルのメンバーが成功体験を持っているので柔軟に動けます。大企業のレガシーな成功体験は捉え方次第、早い変化は難しい面がありますが、いまある強みを源泉としたDXを定義して推進していっています。

須藤 いろんな企業にDX事例のインタビューをさせていただいた時に「社内でコンフリクトはなかったんですか」と聞くと、「いや、社内の摩擦より生活者やユーザーにとって最適な状態をつくることの方が大切です」とおっしゃるんです。重要なのは、ユーザーの方を向いて、サービスを開発・提供することですよね。

その時、社内の軋轢がユーザーにとって妨げになってしまうのは惜しい。とはいえ、これまでの組織のあり方をがらりと変えるのもなかなか難しいことです。だからこそ先ほど髙橋さんが仰ったように、小さなDX部門やワーキンググループをつくって、そこでPDCAを行い、小さな社内変革をを起こすことからはじめるのは効果的ですよね。

そしてそれを、別の部署へと横展開していく。やはり物ごとを変える時には適切なサイズ感があるのではないでしょうか。

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「DX Drive 2021」実施概要
日時 :2021年2月10日(水) 12:00〜17:00
会場 :オンライン開催
主催 :Kaizen Platform
参加料 :無料(※事前登録制)
お申し込み :https://kaizenplatform.com/lp/dxdrive2021/#entry

※新型コロナウイルス感染防止対策として、オンライン配信にて開催いたします。会場でのご観覧は密を避けるため、関係者のみとなっております事、予めご了承ください。

【開催プログラムのご案内】
12:00〜 Keynote
「コロナ禍と5Gで加速する顧客体験DX -2021年の論点大解剖- 」
株式会社Kaizen Platform 須藤 憲司
--代表取締役

13:00〜 Session1
「コロナ禍で加速するBtoBセールス & マーケティングのDX化」
東日本電信電話株式会社(NTT東日本) 蛭間 武久 氏
--ビジネスイノベーション本部 第二バリュークリエイト部 担当部長 
パーソルテンプスタッフ株式会社 安齋 諭 氏
--事業推進部 兼 戦略推進部 部長
株式会社Kaizen Platform 坂藤 佑樹
--事業統括部 部長

14:00〜 Session2
「老舗企業にDXはなぜ起きたか?- 寺田倉庫が実現する『次世代トランクルーム』-」
寺田倉庫株式会社 月森 正憲 氏
--専務執行役員
株式会社Kaizen Platform 海本 桂多
--取締役 CSO

15:00〜 Session3
「プロモーション&販促DXのトレンド」
大日本印刷株式会社 嶋岡 立行 氏
--情報イノベーション事業部 DXセンター プロモーション本部 第1プロモーション企画開発部 部長
アンカー・ジャパン株式会社 猿渡 歩 氏
--取締役 COO
株式会社ジェーシービー 吉田 敦史 氏
--ブランド事業統括部門 モバイルペイメント部 次長(QUICPay推進グループ担当)
株式会社Kaizen Platform 栄井 徹
--CGO

15:00〜(別チャンネルにて同時開催) 
Growth Hackerの祭典「Growth Hacker Awards 2021」
年に一度トップレベルのグロースハッカーを表彰するプログラム
株式会社Kaizen Platform 須藤 憲司
--代表取締役
他、グロースハッカーの皆様

16:00〜 Session4
「5G時代を見据えたコンテンツDX」
吉本興業株式会社 梁 弘一 氏
--テクノロジー開発本部 本部長
吉本興業株式会社 ネイチャーバーガー さん
株式会社Kaizen Platform 須藤 憲司
--代表取締役