「ゼロベースで作らないと、スキルは上がらない」独学グロースハッカーがたどり着いた、作り手に必要な意識
クライアント企業の事業最大化を実現する、Kaizen Platformにおいて欠かせない存在が、デザインとエンジニアリングのスキルを備えた「グロースハッカー」の方々。
WebサイトやUI画面の改善案を作成したり、バナーや資料をより目にとまりやすい動画にしたりすることで、事業をグロースさせる役割を担います。
今回お話をうかがうのは、グロースハッカーの福田和也さん。
当初は、WebデザイナーとしてWebサイトやUI画面の改善をするグロースハッカーだった福田さんですが、昨年『KaizenAd』(高速動画制作サービス)が立ち上がって以来、ほぼ初心者の状態から独学で動画制作の案件をこなすようになりました。
その制作物のクオリティーや納品の早さはKaizen内でも折り紙付き。そんな福田さんに、「独学でグロースハッカーとして成長できた理由」「動画の制作時に気を付けていること」についてうかがいました。
《聞き手・TAIZO(Kaizen Platform)》
独学でスタートした動画制作。前職でのデザイン経験が活きた
──グロースハッカーになるまで、どんなお仕事をされていたのか教えてください。また現在フリーランスで活躍されていますが、Kaizenのほかにはどのような仕事をされているのでしょうか。
福田和也さん(以下、福田) 20代前半は、ゲームデバッカーとしてゲーム開発に携わっていました。その後、転職でWebデザイナーになり、制作会社に7年間在籍しました。
現在は『KaizenAd』の動画制作案件を中心に対応していますが、アニメーションやブライダル映像、ミュージックビデオなどの制作も行っています。
──Webデザイナー時代に、動画編集の経験もあったのでしょうか?
福田 いえ、本当にかじる程度しか経験がなくて、『KaizenAd』での動画制作を始めてから急いで参考書を買いに走りました(笑)。なので、始めの頃はかなり手探りでしたね。
確か最初の案件では、「After Effects(動画編集ソフト)」を使った編集はほんの1割くらい、残りは「Premiere Pro(動画編集ソフト)」で作ったんです。もしいま同じものを作るとしたら丸々「After Effects」で仕上げるのに、どのソフトがどの作業に向いているかも分からず、遠回りなことをしていました。思い返しても、どうやって最初の動画を作ったのか不思議なくらいです。
──1本目からスムーズに制作いただいていたので驚きです。初心者の状態から対応できたコツはなんだったんでしょう?
福田 これは案件をこなしていくうちに分かったことなんですが、Webのバナーデザインにおける「こうしたら綺麗に見える」を当てはめていって、その間にモーションを挟むように加えると、良い感じに仕上がるんです。そういった意味では、元々あったWebやデザインの知識をかなり流用していますね。
「クライアントが求めるものを作る」が第一優先
──制作するうえで、自分の中ではベストな仕上がりだったのに、クライアントから思うような反応がいただけなかった経験はありますか?
福田 往々にしてありますね……。なので、自分の中での「かっこいい」は追わず、いかに素早くクライアントの意図を汲み取って、「クライアントが求める動画」を構成できるかが肝だと思っています。
Webデザインでも同じですが、作り手は凝り始めると「広告である」という本来の目的を忘れがちなところがありまして。自分の作品ではなく、あくまでコンバージョンやアクセス数といった目標数値を達成するために、一緒に取り組んでいるということ。そこを前提としているのであれば、クライアントと大きく感覚がズレることはないと思います。
──クライアントからの要望をアイデアに落とし込めた経験が、自分の中に蓄積して財産になっている、ということもありますか?
福田 そうですね、たとえばフィットネス案件を経験し、その後また別クライアントのジム関連の案件をいただいたときは、最初のときより随分作りやすく感じました。
一度取り組むと、表現の積み重ねが引き出しとして自分の中にちゃんと残り、似たような案件があったときに応用できるんだと思います。これは独学で得られる技術だけでは補えないものだと思うので、過去の案件のやりとりや修正に関しても見返すことがあります。
──他に、参考としているものはありますか?
福田 SNSやYouTubeなどの配信サイトで流れてきた動画広告は、常に参考にしていますね。武術の見取り稽古ではないですが、観ていて気持ちいい表現があれば保存して何回も見返し、コマ送りにしてどういう動きになっているかを、フレーム単位で研究しています。
主に使用する「After Effects」のTips動画を観ながら勉強するのはもちろんですが、良い映像をそのまま再現したり、それ以上に良い映像にするにはどうしたらよいかを考えています。
ゼロベースでつくらないと、スキルは上がらない
──福田さんは、制作スピードがとても早いと思うのですが、動画1本あたりどれくらいの時間をかけているんですか?
福田 案件の内容や求められるエフェクトの程度にもよりますが、おそらく2~3時間くらい。ただ私の場合は、完成してもすぐに納品せず、一旦ちょっと寝かせるんですよ。
翌日や翌々日、改めて見返したときに「なんかおかしいな」という違和感があったら、1フレームごとに細かく見て微調整していく。1フレームに可能な限りこだわりを入れることで、ユーザーに対して広告における信頼度が上がり、結果的にコンバージョン数にも繋がると思っています。バナー制作でいう「1pxにこだわる」というところと共通しているかもしれません。
──2~3時間で作るときは、どのように作っているんですか?
福田 動画の訴求内容を確認したあとに、構成を考えながら、まずは絵コンテを作るようなイメージで静止した状態のものをざっと作っています。そのあと、間にモーションを挟んでいき、動画っぽく見せていく流れです。
──モーションは、いくつかテンプレートを持っている中から選んでいるのでしょうか?
福田 いえ、テンプレートは一切使いません。以前作ったものを流用して使ったのは、過去に1度か2度あったかくらい。元々あるものをそのまま使ってしまったら、自分のスキルが上がらないので、基本はゼロベースで作ってます。
作ること自体に意義を持っているので、すでにあるものをさくっと当てはめるだけだったら自分が面白くないなと思って。きちんと作り込んで「納品」っていうボタンを押したときの、「よし、終わった!」みたいな、あの爽快感が欲しいんです(笑)。
グロースハッカーに興味を持っている方へメッセージ
──最後に、これからグロースハッカーを目指す人たちに対して、メッセージをいただきたいです。
福田 本当に「頑張れ!」ぐらいしか、私からは言えないんですけど(笑)。私たちが作っている動画広告って、何ヶ月もかけて完成させるテレビや全国区で流すCMとは違うから、そこまで突拍子もないスキルは必要ないんです。インフィード広告は、たとえるならバナーをそのまま動かしているようなもので、「動」と「静」の繰り返し。「動」の部分は全体の2割くらいなので、Webデザインの基本的な構築さえできれば、誰でもチャレンジできるはずです。
特別な技術より、その商品やサービスに一番の愛着を持っているクライアントの気持ちを察してあげるとか、やさしい気持ちで取り組むことが大切で、それができるとこの仕事って、すごく面白いと思います。
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