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【初公開】トップグロースハッカー(広告動画クリエイター)の制作過程を公開します

Kaizen Platformでは、DX事業をサポートするクリエイターやエンジニアの方々を"グロースハッカー"と呼んでいます。

今回は、高速動画制作サービス「KAIZEN Ad」で活躍するトップグロースハッカーの「制作過程」をムービーでご紹介。

撮影してくださったのは、Kaizen Platformにおいて「なくてはならない存在」である、動画クリエイターの[myrica]Fukudaさんです。

約11分のムービーに映るスピーディな編集技術が、「すごい」「さすが!」と新人グロースハッカーたちの間でも話題となりました。


15秒のプロモーション動画制作に必要な工程は3つ

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ムービーは、[myrica]Fukudaさん(以下、Fukudaさん)が全作業工程を説明するシーンから始まります。

①「依頼内容の読み解き」
②「『After Effects』を使ってプロットを作成」
③「モーションやエフェクトを加える」

3つの工程で案件をこなしていくというFukudaさん。それぞれの工程は、どのように進めていくのでしょうか。

①「依頼内容の読み解き」からスタート!

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まずは、グロースハッカーが登録しているオファーページより、依頼内容を読み解くことから始まります。

「掲載先は『Facebook』、解像度は『幅:1080 高さ:1080』、秒数は『15秒』」といったフォーマットをチェック。必要な動画素材もダウンロードしておきます。

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さらに参考URLに飛び、動画に落とし込める情報がないかチェック。

今回の依頼は、「KAIZEN Ad」(サービス)のプロモーション動画制作だったため、「KAIZEN Ad」のサイトリンクが貼られていました。

サイト全体をみて、背景色やフォントなどのトンマナを確認します。参考サイトは、ブルーとグリーンのグラデーションが印象的。Fukudaさんはこれらのトーンを意識して、動画を作っていくことにしたようです。

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続いて、指定された動画構成をざっとチェック。詳しい構成はプロットを作りながら読み解いていくそう。

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使用する静止画や動画素材は、プロット作りの前にあらかじめ切り抜きなども済ませておきます。ここまでの作業時間は約1時間10分〜20分というFukudaさん。

②「プロット」を作成。ポイントは「可読性」と「可視性」を意識すること

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ここで「After Effects」(編集ソフト)が登場。4〜5シーンにわけ、動画のプロットを作っていきます。

ポイントは、絵コンテを作るイメージで作業していくこと。モーションやエフェクトはつけずに、パラパラ漫画やバナーを作る感覚で、「起」から「結」までをひと通り作っていきます。

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「ポイントは可読性と可視性です」とFukudaさん。

各シーンの要となるテキストを配置して、ちゃんと文字が読めるか、画像や素材がきちんと見えるかを意識してサイズ・尺などを調整します。

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各シーンのテキストが配置できたら、主にレイヤースタイルを用いて、装飾(背景の色付け、画像挿入、フォント調整など)を加えていきます。この時点で「こういう動きにしよう!」と決めているシーンについては、モーションを加えてOK。

エンドカットまで完成させ、ここまでの作業でスタートからおよそ2時間経過。訴求コピーの選定なども含むため、②までの作業が一番時間がかかるとか。

③モーションを加える

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いよいよ仕上げに取りかかります。

エフェクトを加え、レイアウトを調整。プロットまでを丁寧に作り込んでおけば、「頭の中に完成形が見えているので、それを組み立てるだけ」。最終調整をして、書き出しを終えました。

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完成した動画は、3Dのエフェクトなども加わりリッチに仕上がっています。あとはクライアントの確認を待つだけというところで、ムービーは終了。

と、思いきや?

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数日後、修正の依頼が入りました。

最終的に完成した動画は、最初に提出したものと訴求コピーなどが異なる仕上がりとなりましたが、クライアントも満足するクオリティの動画になったようです。

Fukudaさんも「洒落ちゃあ動画になった」と思わず安堵で博多弁がこぼれます。

ムービーはこちらから。

制作過程ムービーを観た、トップグロースハッカーたちの反応は?

制作したFukudaさんご本人を交えたトップグロースハッカー3名で本ムービーを視聴し、ディスカッションしました。

《話し手》
[myrica]Fukudaさん(Growth Hacker Awards 2020「Growth Hacker大賞 (動画制作部門)」受賞)
M.Hasegawaさん(Growth Hacker Awards 2020「ハイブリッド賞」受賞)
CCF_Kitakogaさん(Growth Hacker Awards 2020「アドビ賞」受賞)
《聞き手》
taizo(Kaizen Platform)

taizo 初公開でしたが、ムービーをご自身で振り返ってみてどうでしたか?

[myrica]Fukudaさん(以下、Fukuda) 「ああ、いい声してるなあ!」と思いましたね。

一同 (笑)。

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Fukuda みなさんの前で自分の声を聴き続けないといけないのは苦行です(笑)。

今回の制作案件で、かかった時間は3時間弱くらいだったと思います。修正が入ったので全体ではもう少し時間がかかったかもしれませんが。だいたい15秒尺の動画であれば、それくらいで完成できるかなと。

taizo ムービーにありましたが「絵コンテ部分まで2時間」ってどうですか?

CCF_Kitakogaさん(以下、Kitakoga) 速いですね。

Fukuda でも、みなさんバナーを作るときってそれくらいじゃないですか? 今回であればプロットが全5シーンだったので、シンプルな5枚のバナー作るのと同じ感覚だったと思うんですよ。おそらくみなさんバナーひとつにつき30分程度で作ると思うので、「プロットまで2時間」はそんなに速くないと思っています。

Kitakoga 私の場合、まずテキストベースでプロットを作るんですよ。それから「Photoshop」か「Illustrator」で各シーンの構成をガッツリ作るので、3〜4時間はかかります。

ただ、そうなると次の「After Effects」上の作業時間は格段に短くなる。だからどっちをとるかという話になりますね。最近はFukudaさんのように最初から「After Effects」で組んでみようと思っているんですが、なかなか慣れないです。

taizo 「Kitakoga流」と「Fukuda流」があるんですね。Hasegawaさんはどうですか?

M.Hasegawaさん(以下、Hasegawa) 僕も「Photoshop」でレイアウトを組む派ですが、慣れちゃえば「After Effects」のほうが早いのかなと。今回観ていて新鮮でしたね。 ああ、こういうやり方もありなんだなと。

Fukuda 人によって作り方がさまざまだと思いますが、いずれにしてもプロットの工程をしっかり丁寧にやると良い動画が作れるんじゃないかと思います。

ショートカットを体に叩き込んで「時短」する

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taizo みなさんは制作する中で、時短のためにどんな工夫をしていますか?

Kitakoga 工夫してないから遅い……。

Hasegawa 僕は、時間を決めて作るということですかね。「今回はプロットを2時間、アニメーションを3時間で仕上げてみよう」ってスケジューリングしてから始めると速く作れます。そうじゃないと、クオリティを突き詰めるうえでいろんな迷いが出てきてズルズルいっちゃうことがあるので。

taizo 以前、Fukudaさんはスキルアップのために「テンプレートは使わない」とおっしゃってましたね。

Fukuda はい。過去に作ったものはすべて破棄するくらいの勢いで見ないです(笑)。そういうわけでテンプレートは用意していないので、時短で作るためにショートカットを体に叩き込んでいます。

「After Effects」も「 Photoshop」の作業も、1秒2秒が積み重なるとそれが無駄な時間になるので、ブラインドタッチでショートカットをバンバンできるようにしておくといいですね。

taizo まるでゲームのような感覚ですね。

Fukuda です。反射神経を鍛えるような感じですね。「めんどくさいな」っていう作業は検索してみると意外とショートカットの方法があるんですよ。それを見つけたときの喜びが体に染みついて、勝手に覚えていきます。

Hasegawa なんて無駄な時間を過ごしてたんだ! って思いますよね。

taizo なるほど、時短には「時間を決める」「ショートカットを体に叩き込む」がポイントなんですね。

動画は「呼吸」を意識しないと、訴求力が落ちる

taizo Kitakogaさんは動画制作講座の講師もされていますが、生徒さんの動画は主にどういう部分をチェックしますか? どんなことに注力すると、良い広告動画になるんでしょう。

Kitakoga 色々ありますが、テキストを流す場合、一番大事なのが人の「呼吸」に合わせるということですね。そこがずれると当然、訴求力が落ちるので。

taizo 自然に読める速さを意識するいうことですね。次のテキストがきて欲しいタイミングで流れてくると。

Kitakoga そうそう。こういうテンポ感を教えるのって非常に難しいんです。うまく掴めない人は、「何フレーム目で動かす」といった型にはめた覚え方をしちゃう。でも、そこはケースバイケースで「このシーンは速め」「ちょっとゆったりと」と変えていかなきゃいけないので。

Hasegawa その感覚は自分で鍛えることもできます。どう身につけるかというと、動画の過去事例をたくさん観ていくこと。インプット量を増やせば、アウトプットも迷わなくなる。さっきの時短の話にも繋がります。

手探りで解決しようとする前に、過去事例をどんどん観て磨くといいかもしれないですね。

Fukuda 私は、完成したら自分で動画に出てくるテキストを音読しています。そこで読みきれないところがあれば、もっと尺を確保する。

Kitakoga ああ、ナレーションが入る案件は特に読まないとダメですね。自分が思ったよりせっかちな作りになっているときってありますから。

Fukuda    ただ困ったことに、動画をたくさん作っていると無意識に自分の読むスピードが上がっているんですよね。その辺は気をつけないといけないなと思います。

ベテラングロースハッカーでも修正依頼が入る理由

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taizo Fukudaさんのムービーの最後に修正が入っていましたが、修正依頼がある割合ってみなさんどれくらいですか?

Hasegawa 全体の印象が変わるような大きな修正はそんなにないですが、細かいものは毎回きますね僕は。さらっと通ることはほぼないんじゃないでしょうか。

Fukuda    自分も毎回来るかなという感じですね。

Kitakoga うん。

taizo みなさんでも修正が多いんですね。

Fukuda    というのも、動画を作っていて迷わなかったことってないんですよ。特にクリエイターの判断でモーションをつける場合は、ちょっと自信がないというか、一度出してみないとわからないところがあります。

Hasegawa 同じです。それは腕に関わらず、ですね。CSやクライアントからすると要件通りのものが出来上がってきても、実際動画になってみると気づくことって結構あるんじゃないかなと。テキストではいいような気がしていたけど、動画にしてみたら「もっとここはこうするべきでした」という要望が新たに出てきたりするので。

これはクリエイター本人が、ディレクション側に回って構成要素を作ったとしてもあることなんですよ。そういう修正があるのは、ある程度しょうがないことだと思っています。

taizo 心が広い……! ありがとうございます。

Kitakoga LPから動画を制作する案件も結構ありますが、情報量が多いのでどこを削ってどこを生かすか、どこを強調するのか、クリエイター判断に委ねられるんですね。そこの読み方での修正も結構ありますよね。

taizo やはり訴求コピーを選定するのって難しいんでしょうか。

Kitakoga 私たちはどちらかというとユーザー視点に立って文言を選ぶんです。こんなときにはこういうことが知りたいだろうな、と。ところがクライアントが伝えたいのはまた別のところにあったりしますよね。

たとえば10個の訴求ポイントがあるとして、その中から最もパンチのあるであろう1つを抜粋すると、「他の3つも伝えたいんです!」と修正が入ることもあります。

これは事前にやりとりを重ねることで回避できるかもしれませんが、スピード納品という「KAIZEN Ad」の性質上それは難しい。ある程度クリエイターが見切りで作っちゃうことになります。

納品時に「制作意図」を伝えることで修正は減らせる

taizo 特にHasegawaさんがいつも力を入れてくださるんですが、その訴求ポイントを選んだ「背景」を納品時のコメントに書いていただくことで、修正がなくスムーズに納品できることがあります。

Kitakoga なるほど。

Hasegawa そうですね、なにも説明なく「作りました! どうですか?」と見せられるよりも、「こういう理由でこうなっています」ってコメントが添えられているほうが、クライアントも納得しやすいという経験があったので。制作者の意図がしっかり伝われば、クライアントの頭の中にあったものとずれていても、それだったらちょっとその動画で試してみようかな、と思えるというか。

加えて、クライアントが社内でその案件を通すときにも、言葉があると進行しやすいんです。クリエイティブとはまた別の話になるんですけど、大事な部分だと思っています。

taizo 社内承認を得る際、理由があるとスムーズですよね。「KAIZEN Ad」のような B to B のサービスでは意識すべきところかもしれません。

Hasegawa とはいえ最初は作ったものに対しての理由づけって結構難しいですよね。 なので、自分がいいなと思った動画の「具体的に何がいいのか」言語化することを地道に繰り返しやっていく必要があると思います。

Fukuda    自分は未だにそれが苦手ですね(苦笑)。なぜこのモーションにしたのかは説明できるんですが、要件に対してマッチングしているのかどうか、訴求したいものに対してちゃんと自分がモーションで返せているのかどうかって理由づけがかなり難しい。その評価って人それぞれじゃない? って思うこともあるんです。

自分の作ったものが、ちゃんとお客様が納得してくれるようなクオリティを担保しておけばいいんじゃないかなと。……文章苦手なんです。ここが納品ボタンを押すまでに一番時間がかかるところ。精進します(笑)。

taizo ありがとうございます。貴重なお話がたくさん聞けました。引き続き、よろしくお願いします!