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【緊急事態宣言解除に向けた須藤憲司インタビュー】ニューノーマルにどう適応するか?やるべき自助努力とは。

『DXプレイブック』は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の専門家集団 Kaizen Platformの須藤による解説シリーズ。loT、サブスクリプション、AI、D2C、OMO、MaaSなどをキーワードに「DXとは?」を考えるDXの入門書『90日で成果をだすDX入門』(日本経済出版社)の番外編です。今回は、つらいけど目を背けてばかりもいられない「新型コロナ」に向き合っていきます。

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須藤 コロナショックで起きている生活行動の変化は、中長期的に継続し新たな当たり前となる可能性があります。そのような不可逆な変化、新しい常態となることが“ニューノーマル(NewNormal)”と表現されることが増えてきました。

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事業を運営するにあたり、このニューノーマルに向けてどのような検討をすべきか。この中長期的なアジェンダについて考えてみたいと思います。

検討の方向性は、アジリティによって大別できると思っています。アジリティとは、経営や組織運営における機敏性のことです。

アジリティとは、外部の世界で起こっているめまぐるしい環境変化に即応して、自らの方向性(進むべき道のようなもの)を変化させることのできる能力を意味し、ビジネスにとっても非常に強力なものとなる。(引用:『OODA LOOP(ウーダループ)―次世代の最強組織に進化する意思決定スキル』、東洋経済新報社

アジリティが高い企業群が考えるべきこと、続いて、低い企業群が考えるべきこと。本文は、この流れで説明します。

ちなみに高アジリティ群には、一般的なSMB(中小企業・中堅企業)から個人も含めたフットワークが軽いセグメントを想定しています。低アジリティ群は、大きな設備投資を必要とするビジネスモデル、重厚長大系や金融系など大企業が多く該当するイメージです。

【SMBや個人】ニューノーマル検討のススメ

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高アジリティ群は、新たなサービスモデルを模索することをお勧めします。キャッシュポイントを分解し、ニューノーマルに適応したサービスに調整することです。

たとえば新型コロナが広がっている状況で、これまでイートインでパスタを提供していたお店がパスタソースと乾麺のデリバリーやテイクアウトをはじめて好評を得ています。つまり家で加熱調理をしてもらう。手間最小限で美味しく、かつ感染リスクを抑えることがニーズに叶っていると言います。

キャッシュポイントもデジタルにシフトすることも王道です。ヨガ教室などライブ配信でレクチャーをするスクールも増えてきました。ほかにも都内の映画館「UPLINK」はオンライン映画館「UPLINK Cloud」をローンチしました。

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(出典:「UPLINK Cloud」

本来のマネタイズポイントではない周辺価値に着目しサービス化している事例も早速出ています。たとえば下北沢「本屋B&B」は、本屋を散歩すること自体を価値として設定し、様々な本棚写真を共有し眺めるオンラインコミュニティをはじめています。(参考:http://bookandbeer.com/news/ourbookstore/

【おもに大企業】ニューノーマル検討のススメ

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低アジリティ群は、顧客体験の刷新に向けて本質的なビジネスモデルの見直しを検討していく必要があると考えます。

まずカスタマージャーニーと付随する業務プロセスを洗い出しましょう。今回の景気低迷は、コロナ拡大による消費変化や制限も大きいのはもちろんのこと、業務プロセスに制限がかかり、顧客体験が損なわれているケースも少なくありません。

痛んでいる箇所がデジタル対応で処置できるのであれば、早急に対応すべきです。

たとえばいまは、多くの企業で ①コールセンター受電率低下 ②資料送付の遅延 ③対面アポイントの困難化 ④コア業務の稼働減 あたりが課題化してきていると認識しています。(詳しくはこちらをご覧ください→「リモートワークで業務上、一体何が起きているのか?」

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に関し、コールセンターが正常稼働できていないのであれば、たとえばFAQページを充実することで受電数自体を削減することはできないか。はたまたマニュアル系の対応であれば、実際の作業を動画にしてYouTubeにアップすればよいのです。口頭説明に加えて、視覚的にも明示できるのでお客さんの理解度はあがるでしょう。そういった打ち手をクイックに講じていくことが重要です。

その上でに本腰を入れて対応検討していきましょう。請求や審査など業務上クリティカルなプロセスをニューノーマル前提で刷新していく必要があります。ここには時間がかかるかもしれませんが、その上で、サービスチューニング含めた顧客体験の刷新を検討していけるのではないでしょうか。

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【ニューノーマル対応】最大の自助努力とは

物理的な移動が極端に制限されることで、情報やデータ取引による価値提供の受容性が高まっています。これまでは対面を重視していたやりとりも、オンラインに移管されていることからも明らかです。

反対に大きな固定費となる一等地の店舗やオフィスなど、これまでの強みはいま足枷となっているケースも少なくありません。店舗であればデリバリー特化やデジタルシフトしていく場合に、従来の立地の強みは残念ながらそこまで生かされないケースも多いです。オフィスもリモートによる業務の成立が証明された際には、その必要性を疑う企業も増えそうです。

このようなルールチェンジが不可逆なものであるとするならば、私たちは適者生存の考え方を念頭に入れる必要があります。耐えるだけでは不十分です。残念ながら最適化を図らないと生き残りは困難なのではないでしょうか。

それを前提に捉えた時に、デジタルリテラシーやデジタルに対するアジリティを高めることは、いまもっとも効果的な自助努力と言えます。

先ほど述べたような打ち手をラインナップした際には、各部署や機能ごとにタスク細分化してクイックに現場主導で対応していくべきです。その積み重ねがアジリティを高めることにも繋がっていくと思います。

(撮影/森川亮太(箕輪編集室))

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