【座談会】「コロナ禍でも仕事が激増した」グロースハッカー3人が2020年を振り返る
多くの人が自身の仕事と向き合うこととなった2020年。新型コロナが社会や経済に与えた影響は大きく、「コロナ倒産」「コロナ失業」というキーワードが生まれるほど。
オフィスを解約する企業が現れたように、今後はリモートワークがスタンダードになる可能性もあり、働き方についても見直しが進みました。
そんななか、Kaizen Platformでは、オンラインの動画制作スクール「KAIZEN School」を開校。動画制作未経験者でも、講座を通して実戦力を身につけることができるクリエイターの養成をはじめます。
それにあたり、今回はグロースハッカーとしてKAIZEN Adの第一線で活躍するYagi-Sanさん、motomoさん、石田真紀子さんをお呼びし、「2020年のKAIZEN Adを振り返る」というテーマで座談会を実施。リモートワークで動画制作をおこなうグロースハッカーという働き方、コロナの影響、そして抱えているリアルな悩みに迫りました。
(聞き手・Taizo(Kaizen Platform) )
コロナの影響は? 逆に仕事が増えた2020年
Taizo 2020年は新型コロナの感染拡大により、社会にも経済にも大きな影響が出た1年だったと思います。そのなかで、仕事がなくなって経済的に困窮している方や、精神的に追い詰められてしまっている方もいたと聞いています。グロースハッカーのみなさんはいかがでしたか?
Yagi-San(以下、Yagi) むしろ忙しかったと思います。僕の周りでも、今までリモートワークに慣れていなかった人たちが無理やりリモートワークに移行したことで大変だったという話を聞きましたが、KAIZEN Adはそもそもがリモートワークなのでまったく影響がありませんでしたね。
僕は今、KAIZEN Adがメインの収入源なんですが、正直に言うと2020年は過去最高所得でした。
Taizo そうだったんですね。僕らも、世の中が自粛になっているときほど忙しくなるという、驚きつつもありがたい状態になっていました。
広告の需要自体はコロナ禍でグッと減ってしまったものの、対面での営業ができなくなったことで、営業動画など、広告以外の動画の需要が増えたことが大きかった。サービス全体の動画制作量でも、一昨年の3月だと月500本作ってひいひい言っていたのに、2020年は毎月コンスタントに600~700本は作っていましたからね。
Yagi 増えたとは思っていましたけど、そんなに増えていたんですね(笑)。世間が大変なときだったからこそ、受注数が充実していたのは本当にありがたかったです。
Taizo 真紀子さんは、一昨年まではKAIZEN Adを少し離れていましたが、去年の途中から戻ってきましたよね。何か再開した理由ってあるんですか?
石田真紀子(以下、石田) 一昨年までは個人で受けているサイト制作や動画制作などが仕事のメインでした。でも、個人でやっていると、自分が手を動かす時間よりも、打ち合わせをする時間が増えていってしまったんです。それはそれで楽しいんですが、打ち合わせのときって子どもをどこかに預けなくてはいけなくて、預け先を確保しながら打ち合わせの日程を組むのがすごく大変で……。
リモートで働くKAIZEN Adだと、子供が熱を出しても自宅で面倒を見ながら作業できるじゃないですか。そういった面で、精神的にすごく楽だなあと思ったのが、再開した大きな理由です。個人でやっていたからこそ思いますが、Kaizen Platformがクライアントとの間に入ってくれるおかげで制作だけに集中できる環境になっているのも、やりやすいんですよね。
Yagi それはわかりますね。
motomo めっちゃわかります。
石田 お客さんとの値段交渉もすごく苦手なので、KAIZEN Adのように価格や修正の回数に関してルールが定められているのはすごく助かりますね。「ちょっとおかしいな」ってときはサポート宛に相談できますし。
Yagi 特にお客さんの中で制作や修正の要望が固まりきっていない場合は、対応が難しいときもありますよね。
Taizo そのあたり、motomoさんはどうでしたか? motomoさんは去年3月に制作会社を辞めてKAIZEN Adを始められたとおっしゃっていましたよね。
そのときに「制作会社では、言われた通りに指示通りの作業をするだけだった」と言っていたのが印象的なのですが、KAIZEN Adは逆に自分のアイデアをどんどん出していける環境かなと思っているのですが。
motomo そこに関しては、すごく自分に合ってるなと思ってます。制作会社時代は、下請けの下請けのような立ち位置だったので、自分のアイデアを出しても通らない、本当にただの作業に近くて。
でもKAIZEN Adの仕事は、クライアントとの距離が近い。だから自分のアイデアがクライアントにとって良いのか悪いのかの判断がしやすくて、成長している実感を得やすい環境なのが楽しいです。やっぱり、僕はまだ承認欲求があるので、自分の作ったものが認められることに楽しさを感じてしまいますね。
Taizo いや、Kaizen Platformとしてはクリエイターに承認欲求はあったほうがいいと思っていますよ。
Yagi そうですよ。承認欲求がなかったら、ものづくりなんてやってませんよ(笑)。
motomo まあ、そうですよね(笑)。
今から参加するなら制作会社出身やカメラマンが有利? KAIZEN Adのレベル上昇問題
Taizo もし、去年KAIZEN Adがなかったとしたら、どうなっていたと思いますか?
motomo いろんな意味できつかったと思います。制作会社時代は、終電まで残って働いても給料はものすごく低いという状態でした。コロナがいつ終息するかも分からないし、感染した場合の入院費を調べたんですけど結構かかるじゃないですか。おまけに隔離されたら、その間の収入も消える。毎日生きるのに必死なくらいお金がなかったので、当時は不安で仕方なかったんですよね。
今は、KAIZEN Adだと自分の労力分がきちんと還元されるので、結果、以前の給料の倍くらいは稼げていて助かっています。
Yagi 分かります。僕もちょっと似ていて、KAIZEN Adを始める前って、仕事で体を壊して倒れてしまったときで。もう絶対に自分を大事にしようと思って、会社員にはならないと決めたんです。でも、あらゆるクラウドソーシングサービスを試してみたんですけど、なかなかお金にはならなくて、どうしようかと考えていたときにKAIZEN Adと出会った。出会えてなかったら、今のような生活はできていなかったと思います。
Taizo そういった話を聞くと、僕たちも頑張ってよかったなと思います。真紀子さんはどうですか?
石田 私は、3~4月はコロナの影響で本当に仕事がなくて、子供も保育園を休んでいて、ほぼ専業主婦の状態でした。時間があるときはYouTubeのチュートリアルを観るなど、制作者としての勘を忘れないように動画制作の自主練は続けていた感じで。
だから、6月にKAIZEN Adを再開しなかったら……ちょっと主婦の割合が多くなってたかもしれないですね(笑)。まあ、それはそれで、子供との時間が取れたのでよかったのかもしれないですけど。
Taizo 今は案件の数が増えたこともあり、お客さんから要求される水準も高くなったじゃないですか。たとえばなんですけど、みなさん、今このタイミングからKAIZEN Adに参加することになってたらどうなっていたと思いますか?
Yagi だいぶ辛いですよ。僕は初期から参加できて良かったと思っています(笑)。
石田 いや、本当に。KAIZEN Adの初期は、バナーの動画化のような案件が多くて、バナーが動いている、かつ「パワポっぽくなければいい」って感じでしたよね。今は動画広告市場全体のクオリティが上がってきていて、自分のところに配信される広告を見ていても、「これって結構手間をかけた広告だな」と思うことが増えました。
Taizo おそらく、業界的に映像の仕事が減ったことで、今まではいなかった制作会社が動画広告に参入してきた、ということがあるのではないかと思っています。そういう意味では、motomoさんは制作会社にいたわけなのでアドバンテージがありましたよね。
motomo でも、どうなんですかね? 僕は当時社内ではスキルがある方ではなかったですし、一応、After Effectsが使えます、くらいだったので。
Taizo それでも、「昨日初めてAfter Effectsを触りました」というレベルの初心者とは大きく違うじゃないですか。
motomo 確かにそのくらいの初心者が今のKAIZEN Adに入ってきたらきっとパニックですね(笑)。
Taizo 1年前だったら、初心者から引き入れて案件をこなすことで成長してもらう、ということもありました。でも、今だと一定水準まで育ててからじゃないと難しいなと思っていて。今回、スクールを作ったのにはそういった理由もあります。
Yagi そうですね。今だったら、せめて制作会社出身かカメラマンなど、少なからずデザインに何かしら関わっていて、Adobe製品をさくさく使える人だと、成長が早いと思います。
Taizo 今って結構、スマホで動画を編集できてしまうじゃないですか。たとえば、TikTokは動画制作ソフトを何も使えなくても、簡単に楽しく作ることができますよね。それに対して、After EffectsやPremire Proを使いながら動画を作っていくことについて、どう捉えていますか?
Yagi 今の若い世代は、確かにTikTokやその他映像系アプリで編集することに慣れていますよね。でも、僕たちに求められる表現能力って、これらのアプリでは出せない気がするんです。
After Effectsだと、3Dや実写合成、アニメーションもできるなど表現の幅が圧倒的に広い。自分の創作のイメージを好きなだけ発揮できる、ってところがこれらのソフトの強みです。TikTokは、プラグインだけでしか作れない動画と、たぶん理屈は同じですよね。それだと、お客さんから「これ変えて」と細かい調整をオーダーされても、「無理です」としか言いようがない。まあ、お客さんが何を好むかは別の話なんですけど(笑)。
自分が身に着けたスキルを武器と自信に、未来を切り開いていく
Taizo 2020年について振り返ってきたことをふまえて、2021年、そしてこれからの期待や不安について聞いてもいいですか?
Yagi 2021年は、相変わらず忙しいなあと思いながら、今後はもう少し別の表現を学びたいと思っています。
今研究しているのは、アニメーション技術。それができたら、表現の幅がもっと広がると思うんです。一枚絵を動かすんじゃなくて、本当にキャラクターが動いて飛んで、みたいな。
Taizo なるほど。でもアニメーションに使われるキャラ素材って、やっぱり制作会社が持っているので、動画の依頼もそのまま制作会社に行くことが多くて、受注数としては少ないんですよね。
Yagi そうなんですよね。でも僕は、3Dキャラをアニメーション風に加工するという方法を考えています。「特定のキャラクターを動かす」だと版権的に難しいですが、オリジナルでキャラクターの3Dモデルを作ってそれを動かすのであれば問題ないじゃないですか。たとえば、「塾のCMをやるから、高校生の男女のキャラクターを作って」と言われたら「じゃあそれを作ってアニメーションにしましょう」くらいは提案はできるようになるなと。
Taizo すごい。着々と仕込んでいますね!(笑)
Yagi 調べていたらだんだんと「これいけるんじゃないの?」とおぼろげながら見えてきたというか。いろいろできたほうが楽しいじゃないですか。
Taizo お二人はどうですか?
motomo 今はKAIZEN Adの仕事だけじゃなく、絵とか自分の興味関心を持っているものを映像表現に落とし込むことを考えています。KAIZEN Adの仕事と並行して、他の表現技法も学んでいたら、そこから還元できるものもあるはずなので。
そうでもしないと不安というか。というのも、コロナがきっかけで「会社員って、スキルがなかったら会社に首を切られた瞬間に終わるなあ」と気づいたんですよね。でも当時は、その不安と向き合わないように過ごしていたので、今は逆に気持ちが楽になりました。
Taizo フリーランスの方は、仕事がなくなるかもしれないという恐怖の反面、自分がスキルとして身につけているものがあるということが自信に繋がるのかなと思います。
motomo そうですね。戦場に送り込まれたときに何を持っているか、みたいな。会社員のとき、僕はハサミくらいしか持ってなくて。でも今は、やっと戦える武器を持てたように思います。
Taizo ということは、みなさん未来に関しては、スキルという部分で道を切り開いていける期待があるように見えますね。真紀子さんはどうですか?
石田 私はみなさんより成長ペースがゆっくりなので……。最初なんて15~30秒の動画を1本作るのに3日くらいかかっていましたから(笑)。
でも、2年も続けてれば、急げば1日で作れるようになったし、ものによっては1日に何本か作るときもあります。積み重ねていけば、だんだん誰でもできるようになるんだなと。それにこの技術はたぶんずっと使えますよね。
Taizo そうですよ。Yagi-Sanさんは元からそうでしたけど、真紀子さんとmotomoくんは、以前と比べるとすごく自信がつきましたね。
Yagi 俺だってそうですよ(笑)。自信あるように見えるだけで、裏ではめちゃくちゃ不安がってます(笑)。
Taizo (笑)。でも、真紀子さんとmotomoくんは、本当に自信が前面に出てくるようになったなと思いました。
それでは最後になるのですが、あなたにとって「Kaizenとは何か?」教えてください!
Yagi そうですね……。今の僕にとっては、文字通り、「命綱」ですね。もうちょっと情緒的なことを言うと、本当にやりがいをくれる大変ありがたいサービスだと思ってます。
motomo Kaizenとは……なんだろう。僕はフリーランスとしてのスタートがKaizenだったので、「登竜門」のような感じです。ここを通っていろいろな世界で頑張っていきたいなって。
石田 Kaizenで働いていると、フリーランスだけどコミュニティ感があるというか。みんなで成長していこう、という雰囲気がすごくあると感じます。
報酬の話も、普通はフリーランス同士だとあまりしないですが、KAIZEN Adでは一定のルールの中で一緒に働いてるので、すごくフランクに話しやすいというか。私は勝手に「同志」だと思ってるんですけど(笑)。
Yagi それは思います。
motomo 一緒です。ありがたいです本当。
Taizo 僕たちもいつもみなさんに感謝してます。だって、僕らはグロースハッカーのみなさんがいないと誰もクリエイティブ作れないですから。
これからも、みなさんに協力してもらいながら、一緒にKAIZEN Adを大きくしていければ嬉しいです。
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(文: 早川大輝、編集:Kaizen Platform公式note)