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【データ活用ビジネス市場と海外事例】「インターネット・トレンド」2019年版 解説

みなさんこんにちは! Kaizenで学生インターンをしているDaikiです。

今年6月、インターネットの現状を網羅的に紹介したレポート「Internet Trends 2019」が公開されました。

例年どおり、最新の数字とともにインターネットの今後を予想しており、インターネット事業に関わる経営層が押さえておくべき数字がてんこ盛りのこのレポート。

第1〜4章に引き続き、今回は5章「 Data Growth 」のスライドを翻訳・解説していこうと思います!

1) Users
2) E-Commerce + Advertising
3) Usage…
4) Freemium Business Models
5) Data Growth(今回の記事)
6) ...Usage
7) Work
8) Education
9) Immigration + USA Inc.
10) Healthcare
11) China (Provided by Hillhouse Capital)

イントロダクション

今回の章では、データを活用して業績を伸ばした1995年前後の企業〜最新の事例までをひたすら紹介しています。

本質的な企業のデータ活用法は変わらない一方で、近年はデータがより膨大、多様化(IotやVR、ECなど)しており、データを可視化・整理・シミュレーションしサポートする企業と契約する傾向が増加しています。そのため、BIツールなどの企業とセットで事例が紹介されていました。

自社のデータをどのように綺麗に整理し、経営に生かす必要があるのかを具体例で示唆してくれる章です!

○1995年以前に成功した企業は、カスタマーエクスペリエンスを向上させるために顧客データとインサイトを利用している

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○Product Development(1890年代 - 1950年代)「IBM」は顧客の声を重要視した

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「IBM」は、顧客の業務について深く理解し、各組織にメリットを説明できる営業部隊を開発しました。顧客は「IBM」の従業員と深く関わり、業務に不可欠なタビュレーティングマシン※をより効果的に使用するための製品革新について説明を受けていたのです。

※タビュレーティングマシン(Tabulating machine)とは……日本では一般にパンチカードシステムと呼ばれていた機械軍の作表・印刷をする機械のこと。会計機としての役割も果たし、タビュレータ (tabulator) とも呼ばれた。

要は、現代のようなコンサルティングをしていたというわけですね。

○Product Development(1970年代)「ナイキ」は消費者との関係を重視した

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「ナイキ」はトップランナーと密な時間をとり、デザイン、技術を集約させていました。

○Product Development(1980年代)「クライスラー」はフォーカスグループリサーチを実施していた

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「クライスラー」は、1984年以降、顧客の望んだ商品を提供することで、収益を伸ばしています。

○Product Development(1980年代)「Intuit」は顧客テストに全力を注いだ

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「Intuit」は、街頭からテストユーザーを募集し、ストップウォッチでKwik-Chek(Quicken)※の使用法を計測したようです。

※「Quicken」とは……Intuit社の個人資産管理ソフトのこと

現在、「Intuit」は米国で圧倒的シェアの会計・税務ソフトウェア・クラウドサービス企業で世界でも最大手です(参考:https://www.americabu.com/intuit )。

○1990〜2000年代は、Internet、Mobile Devices、Cloudの時代

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例として4つの企業が挙げられています。

○1995年以降の成功した企業は、カスタマーエクスペリエンスを向上させるためにデジタルデータ用い、インサイトを獲得している

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○(1995年以降)「Capital One」は顧客データを収集し、マーケティング最適化を行った

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「Capital One」※はクレジットカード情報から顧客情報を獲得し、科学的なテストをしていました。具体的には、保険数理ベースの消費者行動モデルを構築し、商品、価格設定、クレジットライン、およびアカウント管理を調整し、各顧客の個々のニーズを満たしていたのです。

※Capital One(現在:キャピタル・ワン・フィナンシャル・コーポレーション)とは……アメリカ合衆国・バージニア州・McLeanに本部を置く金融持株会社。アメリカ大西洋岸地域を中心に、クレジットカード事業、インターネットバンキングや融資などの金融サービス提供を行っている

上記は1996年のレポートに書かれていたものですが、このデータ・ドリブンなマーケティングにより、1997年から収益が急激に伸びていることがわかります。

○(1995年以降)「Amazon」は、顧客データを収集し、ユーザーエクスペリエンスと販売の最適化を行った

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○2000年代に成功した企業は、デジタルデータとインサイトを活用し、カスタマーエクスペリエンスを向上させるためにDataPlumbing Toolsを利用している

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○Data Plumbing Toolsはリアルタイムでビジネスを支援する

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Data Plumbing Toolsの意味は、以下のように推測できます。

ビジネス上のあらゆる活動(社内の情報、顧客情報)をデータ化するために必要なhubのようなもの。特に、データ化のためには業務をクラウド化するほうが効率が良く、クラウド化を支援するサービスをData Plumbing Toolsとも言うことがあるようです。

そして、その役割として、データの収集、接続管理、データの最適化の3つが本文で解説されています(参考:「Digital Plumbing Tools Help to Sync Data Across Cloud Apps」)。

○Collect Data : 「Qualtrics」と「FabFitFun」はデータを収集し、顧客の希望を理解し、ビジネスプロセスを改善した

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「Qualtrics」は、アンケートなどを通じて経験データを収集できる「エクスペリエンスマネジメントプラットフォーム」を提供しています。それによって、企業は顧客との経験のギャップを迅速に埋めることができます。

「FabFitFun」※は、消費者向け製品やブランドの嗜好に関する数百万ものデータポイントを集計し、パーソナライズされたキュレーションに対する満足度を正確に予測し、会員体験の質を向上させています。

※FabFitFunとは……コスメを詰め合わせたボックスをサブスクリプションで配達してくれるサービス


○Collect Data : 「Salesforce」と「Adidas」は顧客との接点を増加させ、製品を改善した

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「アディダス」は消費者の期待にすぐに応えられるようにする必要があるため、「Salesforce」を介して顧客と直接連絡を取り合うことで、基本的に一晩でそれが実現するようです。

○Collect Data : 「Stripe」と「Slack」は有料会員顧客との関係を管理し、収益を拡大させた

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「Stripe」とは……PayPalのようなインターネットビジネスのためのオンライン決済処理を提供している企業

○Collect Data : 「Plaid」はデータを収集しやすい環境を作り出し、「Betterment」は消費者の意思決定を改善した

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「Plaid」は、データを使用して、個々の消費者のニーズに合わせてサービスを調整する、新しいクラスのユーザー中心の金融サービスを提供しています。

「Betterment」は、ニューヨークに本拠を置くオンライン投資会社ですが、自動化された財務管理を可能とし、Plaidを通じて、さらにパーソナライズした金融サービスを提供できると言います。


○Manage Connections : 「Slack」と「HelloFresh」は、内部と外部のコミュニケーションを整理した

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「HelloFresh」は、2011年に設立され、米国や英国、欧州の国々、オーストラリアを含む世界のさまざまな市場で、あらかじめ計量された新鮮な食材をレシピとともに顧客のもとに送り届けています(参考:「ZDNet Japan」)。

「HelloFresh」は「slackbot」を活用し、SNS上のやりとりに対応しています。

○Manage Connections : 「Twilio」はコネクションを管理し、「Shopify」が複数のチャンネルを介して顧客と通信することを可能にさせた

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「Twilio」とは……顧客の電話番号等の情報があれば、テキストメッセージングやチャット、プッシュ通知、Facebook Messengerなどを一度に接続し、接点を増やすことができるという、コミュニケーションを改善するサービスを提供しているBtoBの企業

○Manage Connections : 「Meredith」は、組織ごとにバラバラな顧客データを整理するために「Segment」を使用し、改善した

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「Segment」とは……一つのAPIで顧客データを整理することができるサービスを提供する企業
「Meredith(メレディス・コーポレーション)」とは……アイオワ州デモインに本拠を置くアメリカのメディア・コングロマリット。2018年にタイムやフォーチュンなどを発行するタイム社を買収したことで全米最大の雑誌出版社となっている

○Optimaize Data : 「Snowflake」はデータを最適化し、「Instacart」の分析の改善、レコメンデーション、パーソナライゼーションを可能にした

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「Snowflake」とは……大企業がデータを効率的に管理できるクラウドサービスを提供する企業

「Instacart」は、「Snowflake」を導入することで、店頭商品の在庫状況を予測するのに役立つ情報を得ることが可能になり、業務が効率化されました。

○Optimaize Data : 「Confluent」はデータを最適化し、「Accor」の顧客イベントに対応できるようにした

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「Confluent」は、シリコンバレーを代表するユニコーンの1つと言われている企業です。そして、データマネジメントの中でイベントストリーミングと呼ばれる領域を手掛けており、大量のデータをリアルタイムで処理するニーズに答えています。

「Accor(アコー)」 は、フランスを本拠とし、世界規模で展開するホテルチェーンです。「Accor」のホスピタリティサービスには、世界100カ国、4,800のホテル、リゾート、住居が含まれています。

「Confluent」の導入により、以前の予約から食事の要件と部屋の好みを追加することができるようになりました。(参考:Forbesjapan2019年「ビッグデータ処理界のユニコーン、Confluentが企業価値25億ドル」

○Optimaize Data : 「Looker」は、「FarFetch」のデータを最適化し、ビジネス洞察の発見に貢献した

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「Looker」は、膨大で複雑なビックデータの探索&視覚化問題を解決する新世代のBIプラットフォームです。データのビジュアライゼーションに重きを置いています。

「Farfetch」は、世界中のデザイナーのアパレル衣料品を扱う、インターナショナル・ファッションECサイトです。ファッション産業における市場データを保有し、その利活用にLookerを使用したと考えられます。

○データは新しいアプリケーションである

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現在、データは人々の働き方の基本であり、最も成功している企業は知的に顧客全員の毎日のワークフローを統合しています。


○データとAiによって、顧客満足度を向上させることができる

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○小売顧客満足度は、データとパーソナライゼーションで上昇させることができる

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小売顧客が対象だった調査によると、

・91% パーソナライズされたオファー、リコメンデーションを提供するブランドを好む
・83% パーソナライズされたエクスペリエンスと引き換えに受動的にデータを共有することを望んでいる
・74% パーソナライズされた経験のために、お金を払っても積極的にデータを共有したい

このように、データに基づくパーソナライズを顧客は望んでいるようです。


○一方で、世界中の人々が、欧州連合(EU)の法に沿って包括的なプライバシー規制を求めている

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○データ量と利用率は急速に、広く進化している

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○データ量は異常な成長をみせている

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2018〜2025年、つまり7年後にはデータ量が今の約4倍になるという予測がされています。


○データの繁殖が進行しており、その構造はEndpoints,EDGE,Coreの3つに分かれる

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Coreは、データセンターや公共・個人のクラウドであり、そこに生のデータがあります。

そして、EDGE+Endpointsとして、まずGatewaysがコンピューターやAPIであり、電話塔あってのARやVR、Iotがデータをキャッチし、Branch Officesの乗り物や人々がそれを受け取るという流れになります。

このチャートはIDC社の「The Digitization of the World From Edge to Core」というレポートを元にしています。

○データの管理方法は進化しており、企業が消費者を上回り、クラウドが両方を追い越している

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○データ量のシェアは、EMEAが常にトップであるが、中国が急上昇しており、一国であるのにEMEAを追い越す勢いである。USAのシェアは減少傾向にある

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EMEAとは……Europe, the Middle East and Africa ヨーロッパ、中東及びアフリカを指す

○データ・ドリブンな世界はGDPRといった問題を引き起こすが、我々の生活をより豊かにするものである

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特に重要だと感じた箇所を引用します。

「今日、企業はデータを活用して、カスタマーエクスペリエンスの向上、新しい市場の開拓、従業員とプロセスの生産性の向上、競争優位性の新たな源の創出を行っている。

伝統的なパラダイムは再定義され(自動車や白物家屋の所有権のように)、倫理的、道徳的、そして社会的規範は新しい物事のあり方に挑戦を受ける形になる」

ここまで、1995年前後の企業のデータを活用し業績を伸ばした事例から紹介してきましたが、近年は扱うデータが膨大になり、変数が複雑化、増加したため、BIツールなどのデータを有効に使うサポート企業が増えていると考えられます。

つまり、そのBIツールを使ってデータを利用し、業績をあげる近年の企業は、1995年前後の企業のデータの活用方法と本質的には変わっていないのです。


○データ量と利用率:技術の変革の早さ>人間の適応性の早さ

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人間の技術的変化に適応する能力は高まっていますが、科学的および技術的革新のスピードに追いついていない現状があります。

まとめ

(あらためて、イントロダクションの引用になりますが)本章では、データを活用して業績を伸ばした1995年前後〜最新の事例までを紹介しました。

本質的な企業の活用の方法は変わらない一方で、近年はデータがより膨大、多様化(IotやVR、ECなど)しており、データを可視化・整理・シミュレーションしサポートする企業と契約する傾向が増加しています。そのため、BIツールなどの企業とセットで企業の事例が紹介されていました。

自社のデータをどのように綺麗に整理し、経営に生かす必要があるのかを具体例で示唆してくれる章だったと思います!

次回は 「 ...Usage」の章を解説します!

原本はこちらからご覧になれます。→「Internet Trends 2019」

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